練習の遅刻がなくなった方法

遅刻欠席には罰をあたえるって不健康じゃない?

こんばんは。

岩手大学監督の佐藤陽一です。
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◎今回のテーマ

こうしたら練習の遅刻がなくなった

 

遅刻、欠席が常態化

13年ほど指導者をやってますが、近年の部員たちは遅刻欠席がとても多い印象です。

だいたいどれくらい多いかと言うと、毎回の練習で必ず遅刻者がいます。特に冬期間は全員が遅刻欠席なくちゃんと揃ったことは一度もありません。

強豪校のみなさんからしたら考えられないことだと思いますが、岩手大のメンタリティはそのレベルです。同情するポイントがあるとすれば、−10℃の極寒の朝に暗闇を歩いて練習に向かい、凍った地面で練習するという過酷な環境ぐらいです。

雪が積もっているので自転車等の移動はできないし、練習もまともな環境じゃないのでちゃんとしたラクロスの練習はできません。これでモチベーションを維持させるのはちょっと至難の業かもしれません。

ちなみに、まともな練習場所(室内とか)は探していますが、日常使いできる場所はなかなかないという状態です。

まぁそんなこんなで、部員たちはめちゃめちゃ気合を入れて起きて、寒さをこらえながら練習に向かい、心が折れたら遅刻や欠席をしてしまう日々を過ごしています。

 

ちなみに僕もたまにやってしまいます。。

先日も起きたら練習が終わる30分前で、駆け込み参加して謝り倒しました。

これまでの遅刻欠席防止法

ちなみに昔はどうだったのかと言うと、僕も部員も遅刻欠席はほとんどありませんでした。これは遅刻欠席に対して罰則を設けていたのが効いていたのだと思っています。

具体的に言うと、

・遅刻1ポイント、欠席1ポイント、無断欠席3ポイント

・3ポイントでボール1ダース購入か同等の罰金

といった感じです。

昔(といってもほんの数年前)はこれで予防できていましたが、あるときからこの罰則にストップがかかりました。

この罰則を人づてに聞いた岩手大学職員からモラル的に問題だと苦情が入ったんです。「罰金」という形がよろしくなかったようです。

そこで、この罰則が「罰走」に変わりました。

このあたりから遅刻欠席がとってもゆるくなりました。

罰走では遅刻欠席の抑止力にはならないんです。

強度なんて関係なくテキトーに走ればいいのだから。たかが罰走にトレーナーをつけて管理するのもバカバカしい話です。

「遅刻しても罰走で済む」という隙が遅刻を助長しました。

 

さらに最近は、無断欠席したとしても「退部を考えている」と言って退部をちらつかされることも増えてきました。この奥の手カードを切られると罰で縛ることができなくなってしまいます。

休む→退部をちらつかされる→罰則があいまいになる→遅刻欠席の管理があいまいになる

こんな悪循環も発生しました。

人数の多いチームなら「ではさようなら」とドライに切ることもできますが、岩大は人数の少ないチームです。1人の退部がチームの戦力に与える影響は非常に大きく、簡単に辞めさせるわけにはいかないので、退部を考えている部員に対する扱いはどうしても神経質になります。

 

結局このような流れがあって遅刻欠席についてはユルユルになってしまいました。

とってもムカついたこと

そんなとき、ついに僕の怒りが頂点に達した事件がありました。ちなみにこれは部員たちは気づいていません。なぜなら僕はあんまり怒鳴らないので、誰にも気づかれることなく過ぎ去ったと思います。

何があったのかというと、練習後のあつまりで「遅刻欠席の累積ポイント発表」をするタイミングがあり、そこでかなりの部員にポイントがついていることがわかったんです。そして、マネージャーによるその累積ポイントの発表がクイズ番組のポイント発表みたいになり、ポイントの多い部員が笑われてその場が盛り上がるという状態になりました。もはや恒例のイベントみたくなっていました。

シンプルに笑い事ではありません。

これが当たり前になっている状況は異常だし、笑ってる部員も笑われてる部員もどうかしてると思いました。このときほど指導者としてこのチームに関わっているのがバカバカしいと思ったことはありませんでした。

冷静になって考えた解決法

怒りは頂点。そして思い出されるのが僕自身が現役だった頃。

「おれは3,4年のときに遅刻欠席したことねーぞ」

「遅刻欠席で強制退部をさせられそうになる環境だったぞ」

そんなことを考えていました。

そして、ふと思いました。

「そういえば、おれ3年と4年のとき遅刻欠席ゼロだったな、なんでだ?」

 

その理由は、起こしてくれる人がいたからです。

実は僕は大学3年のときから部の同期とルームシェアをしていたんです。

一緒に住んでるので、どっちかが起きれなかったときは起こしてあげられます。最強の目覚ましです。

 

そう、これでいいんです。

 

罰を遅刻欠席の抑止力にするのではなく、

そもそも遅刻欠席しないようにチームで取り組む

これでいいんです。

モーニングコール

提案したのは非常にシンプルで

部内で2〜3人のチームをつくり、起こしてほしい時間を決めてモーニングコール

これだけです。

そして罰則も無くしました。罰は意味がなくなっていたというのもありますが、罰を与えて制するというのもなんか下品だし不健康な気がしていたので。

いずれにせよ、これでどうなるか?

 

結果は、遅刻がほぼなくなりました!

たまーに「二度寝」をかます期待の新人がいますが、遅刻は本当になくなりました!

思った以上に効果が出ています。

 

うまくいった施策には名前をつけるというのが僕のスタイルなのですが、

「部内で電話を掛け合う」=「テレフォンク◯ブ」

という案で思考が停止してしまったので、結局この施策は

「モーニングコール施策」

というつまらない名前になってしまいました。

 

もし良いなと思ったらこのモーニングコール施策やってみてください。おすすめです。もうやってるところも結構ありそうですが。

心を変えるのではなく行動を変える

今回やってみて学んだのは、やはり

心(モチベーション)を変えるより行動を変える

というアプローチのほうが良いということです。

 

とくに、「継続すべきこと」はこのアプローチがいいです。

今回でいうと

毎日遅刻せずに練習に行くために「まずは起こさせる」

ということでしたが、これは他のことにも転用できて、例えば、「勉強する」というのも同様です。

最初はモチベーション高く勉強できたものでも、ちょっとうまくいかないことがあると続けることが困難になります。そんなときに「モチベーションを高めよう」と言って自己啓発しても、その時は良くてもまた別のタイミングでモチベーションが下がって続けられなくなります。

ならば、モチベーションに左右されないくらいのスモールスタートで「ちょっとだけやるを続ける」という行動をすればいいです。するとそれがいつの間にか習慣化します。一度習慣化されれば続けることは苦労しません。そして、その習慣が最終的に大きな結果を生むことになります。

 

ここでチームの話に戻りますが、僕はこの習慣化がチームの安定した強さをつくるために必要だと思っています。

モチベーションへのアプローチはエナジードリンクやカンフル剤みたいなもので、本当の意味で強いメンタルはできません。本当の強いメンタルとは、難しいことを当たり前に続けられるメンタルです。チームとしても個人としてもこのメンタルの強さが必要で、そのためにはまず行動にアプローチして、モチベーション関係なく行動を変えてしまうというのがいいです。

 

参考にするかしないかは自由ですが、今のところ僕はモチベーションより行動を変えさせるというアプローチでチーム問題の多くは解決できると思っています。

 

良いなと思ったら自チームでもぜひ!

それではまた!