なぜ練習に遅刻しちゃいけないか?
岩手のラクロス環境
氷点下の世界
岩手大学ラクロス部の練習は朝練がメインです。これは岩手大に限らず、ほぼどこのラクロスチームも練習は朝方で午後~夜はフリーとなっています。
理由としては、他の部活動の練習時間とかぶらないようにグラウンドを借りるためです。そうなると空いているのが朝くらいしかないので、朝練がメインの練習となりやすいわけです。
ちなみに、朝練がメインの練習になると、バイト等のスケジュールを入れやすいというメリットがあります。学生バイトと言えばだいたい夕方~夜が多いので、この時間帯に部活の練習が入らないだけでバイトのシフトを効率的に入れられるのです。
逆にデメリットとしては、朝起きるのがツライといったところでしょうか。きょうびの若者が早寝早起きなんてするはずがないので、まだ完全にラクロッサーになりきれていない下級生はリズムを作れず苦労します。
というわけで、朝が苦手な部員にとってはこの朝練が結構ハードに感じますが、北国のラクロスチームはここからさらに追い打ちをかけられます。
そう、寒いんです。。。
ちなみにこのブログの記事を書いている11月27日の朝の気温は
-3℃
彡(-ω-;)彡ヒューヒュー
岩手大学は土のグラウンドなので凍ってましたわ。(なにげに岩手山がきれいに撮れましたね)
ちなみに、このような凍ったグラウンドでの練習はスパイクのすり減り方が尋常じゃないです。
そもそもスパイク履くのはどうかという話もありますが、練習をしているとだんだんあったかくなってくるので、徐々に通常のグラウンドに戻るんです。そして一瞬だけいい感じのグラウンドになる。
この一時のためのスパイクです!笑
そしてしばらくするとグラウンドがぐちゃぐちゃになって練習終了。
最近はだいたいこんな感じで毎日の練習を行っています。
この環境でモチベーションを保つのはかなり難しいのですが、岩手大のメンバーはもともと北国の出身者が多く、昔からこのような環境には慣れっこです。仕方がないと思いつつも気持ちを強く保って練習しています。
まぁ東京の人工芝環境での練習に慣れてしまった準シティボーイの僕にとっては岩手のこのグラウンド環境はがっかりしますし、モチベーションがなかなか上がらないのですが。。
ホント部員たちはよくやっているなと感心します。
でもやっぱり遅刻はする
岩手大学の最も残念なところを紹介します。
多分ここ数年で遅刻欠席がゼロだった練習はほとんどありません。
もしかしたらほとんどないどころかゼロかも…
そう疑いたくなるような状況です。
他大学はどうなんでしょうか?
ぜひ聞いてみたいものですが、少なくとも僕が現役のときは遅刻欠席はまずありえませんでした。
思い出すと、たしか1年間のうちに5回遅刻したら(3回だっけ?)幹部ミーティングの場に呼び出されて
「んで、いつ辞めるの?」
という圧力をかけられていたはずです。
もちろん僕は4年生の頃は無遅刻無欠席(冠婚葬祭、就活は除く)でやり終えたのでそんな状況にはなりませんでしたが、その厳しさは当たり前だと思っていました。
ちなみに、体調が悪い時はとにかく這ってでもまずは時間通りに練習に行き、
「具合悪いので帰ります、ごめん」
で早退しろという感じでした。
(うーん、ブラック笑)
まぁ社会に出たらそんなこと当たり前で、会社に遅刻とか欠勤とかそんな簡単にできません。とは言え、最近は働き方改革でフレックスとかテレワークとかが一般化しているので、相当ユルくなっている会社も多いですが…。(もちろん僕はそんな会社大歓迎!笑)
いずれにしても「ユルさ」ははき違えると後々大変なことになるなと思います。
だからすぐにでも岩手大のこの状況は打破しなければいけません。
メスを入れるべきか?
この遅刻欠席問題ですが、コーチとしては当然きっちり言わなければいけません。
が、実はとても悩んでいます。
なぜなら、怖いからです。
正確には、練習に来させるために部員たちに強く言いすぎて、後々取り返しのつかないことになりそうで怖いんです。
本来であれば、先ほどの僕の現役時代と同じようにすれば、こんな問題は悩むことではありません。
「絶対練習に来い!来ないならキツイルールで縛り上げる」
という方法で権力を振りかざして終わりです。
でも岩手大学にそれはできません。
なぜなら部員数が少ないからです。
辞められると試合ができません。
だから辞めるきっかけを僕が与えてはダメなんです。。
さらに言うと、今は「ブラック部活」などという言葉が生まれたり、「〇〇ハラスメント」という言葉だけでも何十種類とできちゃうような
「弱者救済」
に寄った考え方が強い世の中です。
これだけ騒がしいと
「こんなことを言われたら自分は逃げていいんだ」
「あいつの言っていることはパワハラだから権利を主張して戦おう」
みたいな思考に流されやすいのは当然です。
辞められるだけならまだしも、辞めたついでに訴えられたり悪評を広めるネガティブキャンペーンをされたらたまったものではありません。
今は「強く言えるはずの立場の人間の方が実は弱い」というねじれ状態なんです。
部活動は社会の縮図です。
社会が変われば部活動の在り方もかわってしまう。
コーチとして、この変化にうまく対応しなければいけないのが難しいところですね。
パワハラになる言い方、パワハラにならない言い方
遅刻欠席が多いという問題は放っては置けない問題です。だから絶対にメスは入れなければいけません。
じゃあどうするか?
まず言わないというのはダメです。
なので、絶対に伝えなくてはいけない。
問題は伝え方。
この伝え方をミスるとパワハラになります。
パワハラにならないためには相手が「心から納得できる」伝え方が必要です。
例えば、「俺の言うとおりにやれー!問答無用でやれー!」ではなく、「俺の言うとおりにやれ、だって〇〇だから」というように多少なりとも理由や意図も伝えてあげると良いかもしれません。
すると部員たちはちょっとは納得感をもってその指示を聞いてくれるはずです。
(過保護ですかね?笑)
遅刻欠席をしてはいけない本当の理由
さて、ここまで来たらあとはパワハラにならない程度に遅刻欠席を咎めなければいけません。そこで大事になってくるのが「遅刻欠席をしてはいけない理由」です。
(こんな内容を語るのが本当にバカバカしいとは思うのですが…笑)
何度も言いますが、僕ら世代では「こんなことにいちいち理由なんかいらない」です。遅刻欠席はしないのが当たり前という世界で育ったので。でも今は違います。
この違い(世代間ギャップ)に向き合わなければいけません。
がんばれ30オーバーのコーチ達!
歳の離れた教え子たちに遅刻欠席がダメな理由を伝えましょう!
以下は僕がミーティング中に伝えた内容です。ここで遅刻欠席をしてはいけない理由を伝えました。
↓↓↓
「信用」はとても大事。
チームとして、大学や地域の方々に信用されるように頑張らなきゃいけないのはこれからの課題だね。
でも、信用ということで言えば、そもそもこの「部内」でみんなはお互いを信用しているか?
わかりやすいところだと、普通に遅刻したり休んだりするやつを信用できるか?
例えば、「今日Aさんは風邪で休み」という内容だけ聞かされたら、「本当に風邪か?実は寝坊したから風邪ってことにしたんじゃないの?」と心の奥底で疑わないか?そいつがよく休むやつなら尚更だろう。
「病院行くから休みます」そんなこと言われて、本当かもしれないけど、病院は朝6時(練習開始時間)から行かなきゃいけないほどなのか?そもそも6時の病院って何?どういう病院よ?
「おなかが痛いから休みます」ってのもよく聞くけど、「痛いのが治ったら行きます」って何で言わない?最初から休む気満々のその連絡はどうなんだ?
残念だけど、そういう連絡しちゃうやつのことはやっぱり疑っちゃうんだよ。信用落ちんだよ。そんなやつらのために頑張って何かしてあげたいって思えねーだろ?んでまた何かあれば疑っちゃうんだよ。
悪循環だよ。
ちなみに、今このミーティングには今日の朝練を休んだB(個人名)がいる。体調が悪いから朝練は休むという連絡は入っていた。けど少し体調が回復したんだろうね。このミーティングには辛そうながらも頑張って来てくれている。
本人は辛そうだからそれどころじゃないと思うけど、
(もちろんきつかったら帰っていいからね)
おれは今この時点でBに対する信用度はめちゃくちゃ高まったよ。
だってそーでしょ?
他の休んでるやつらがBより重い病気にかかってるって思える?
Bは苦しみながらも頑張って来てるわけだから、来てないやつは「Bよりもっと重い病気」か「Bより責任感とメンタリティが弱いやつ」のどっちかじゃん。絶対後者だって思っちゃうでしょ?
休むだけで周りの評価は簡単に下がるんだよ。
だから簡単に休んじゃダメなんだよ!
結局は信用なんだ。
チームの信用も大事だけど、個人の信用こそ大事。
どんな理由であれ、たとえそれがしょうがなかったとしても、遅刻したり休んだりするだけで、どうしても信用は落ちるんだよ。
同じチームの仲間なんだから信用したいじゃん?
仲間からの信用を落とすような疑わしい行動、言動をするのはやめよう。
↑↑↑
と、まぁこんな感じのことを喋りましたが、ミーティングに来てないやつらがいたので、そいつらにこそ一番伝えたかったんですが…笑
あとはこの内容は僕自身に対してもですね。
僕は基本的には土日祝は朝練に参加できるので、よほどのことがない限りは参加しますが、飲み会の翌日とかだとちょっと遅刻しがちです。なので今回のブログは自分への戒めも込めて書いています。
部員の信用を失ってもいいのか?
(色んな意味で)目を覚ませ!
最後に余談
昔の教え子で、38度以上の高熱が出ているにも関わらず、マスクをしながら大変ツラい状況の中バイトに励んでいたやつがいました。その教え子はバイトに行く前から不調を感じていたそうですが、「こんな時こそ行かなきゃいけない!」と体にムチ打ってバイト先に向かい、少しだけ働いた後、社員やバイト仲間に早退を促され、謝りながら帰ったそうです。
さて、その一件の後、この教え子はアルバイト先から
「体調がすごい悪くても根性で仕事に励もうとする頑張り屋」
という評価を得ました。
そしてその数日後、自分が一番元気な時にバイトをサボりました。「風邪を引いた」とウソをついて。
ところが、バイト先からは「あいつが休むくらいだから本当にやばい風邪なんだろう」「お見舞いにいくよ」「差し入れするよ」と温かいメッセージをたくさんいただき、ちょっと心が痛んだそうです。
ちなみに彼はこうなることを狙っていました。
「体調が悪い、でもこんなときだから"こそ"頑張って行けばおれは信用される!」
「今頑張れば休みたいときに休める信用ポイントが得られる!」
この先読みと気合いと根性によりバイト仲間たちからすごい信用を得たわけです。
感染系の病気だったら完全にアウトな事例ですが、このしたたかさと根性はすごいやつだなぁと思いましたよ。大学1年で信用の大切さをわかって行動していたのですから。
まぁその当時はまさか一緒に岩大のコーチをすることになるとは思いませんでしたが…
今回は以上です~!