コロナ自粛だからできること…
おはようございます、岩手大学HCの佐藤陽一です。
今回は岩手大学ラクロス部のユニット活動についてお話をしたいと思います。
ユニット活動をするまでの流れなどは過去記事に書いていますが、
www.lacrosse-coaching.comwww.lacrosse-coaching.com
ざっくり言うと、岩手大学的ユニット活動は
・自己分析から個人の好きなこと、得意なこと、頑張れそうなことを見つける
・それをもとにしたラクロス以外の活動をやってみる
・形になったら人数を増やしてユニット化してより発信力を上げる
みたいな活動です。
コロナ関わらず
実はコロナ騒ぎがここまで大きくなる前から岩手大学では「ユニット活動」をしようという動きはありました。ただ、このユニット活動の意味を考えると
「なんでラクロスのプレーに直接関係しない活動をやらなきゃいけないの?」
というギモンは部員たちの心の中には多少なりともあったと思います。
でも、僕はこの活動はラクロスの競技力を高めるためにも絶対に必要だと思っていました。結果的にコロナのおかげで(少々不謹慎ですが)、ユニット活動に注力する環境になったので、ある意味では良かったなと思っています。
風が吹けば桶屋が儲かる
僕はこのユニット活動は「風が吹けば桶屋が儲かる」的なものだと思っています。
つまり、
ユニット活動を頑張ればラクロスの競技レベルも上がる
ということです。
部員たちとの個人面談ではこの部分について時間をかけて話しました。(が、多分そこまで意識できていないので伝わるまでこれからも話し続けるつもりですが)
というわけで、ここからは「なぜユニット活動がラクロスの競技レベルを上げるのか」というお話をしたいと思います。
強くなりたきゃチームに変化を与えるしかない
まず、大前提の話ですが、
チームを強くしたい場合、絶対にやらなければいけないのは、
それまでのチーム環境を変える
ことです。
なぜなら、毎年優勝できるチームは全国で1チームだけだからです。それ以外のすべてのチームは負けてるんだから、何かを変えなければまた同じように負けるに決まってます。同じことをやって勝てるのは優勝チームだけです。
というわけで、指導者や部員はチームを強くするために「チームを変える方法」を考えなければいけません。
が、問題はどこを変えるかです。
変えるものは?
結論から言うと、変えるべきは
「運営・環境」
だと僕は考えています。
(これについては何度も言っています)
ただ、そこに至る話の前に、
まずは今のラクロス界がどんなトレンドかという話をしたいと思います。
(すみません、少々遠回りして長くなりますが頑張ってご覧いただきたいです。)
今はリソース勝負
少し昔話をします。
10年ほど前、僕が岩手大のコーチに就任したときの話です。
僕は就任当初から、チームを強くさせるためには何かしら変化を与えなければいけないと思っていて、真っ先に変えたものは練習内容でもなく戦術でもなく練習時間と練習ルールでした。
この頃は「おれは確実にこのチームを強くさせることができる!」という確信しかなかったので、今みたいに運営がどうとかロジカルなことは一切考えていません。直感ですべてうまくいくと信じてやってたし、実際うまくいきました。笑
具体的にやったことをまとめると、
当時は、
・週4練習
・3年生の最後に引退
・遅刻欠席にルールなし
という感じだったのを、
・週5練習
・4年引退
・遅刻欠席にルール設ける
に変えました。
…さて、いきなりですが、これを見て皆さんはどう思うでしょうか?笑
なんかショボい変化だと思いませんか?
でも、当時は「この程度の変化」でも大きな変化だったわけです。おそらく当時の東北地区の中では最も練習時間が長い大学だったはずです。
そしてここからが大事なポイントです。
僕が本当に言いたいのは、
ほとんどの人がこの変化(週5練とか4年引退とか)をショボい、レベルが低いと感じる
↓
つまり、その当時に起こった変化は今となっては当たり前になっている
↓
「全国の"取り組みレベル"は均一化された」
ということです。
例えるなら、ケータイです。
ガラケーと言われている物理ボタンがある2つ折りケータイが当たり前だったのが、
iPhoneの登場により、物理ボタンが1つしかない画面タップメインのケータイに。
そして、今となっては正面の物理ボタンすらなくなってます。
このように、最初の大きな変化は時間が経てばどんどん一般的になり、均一化されてくるわけです。
ラクロスも同様で、週4くらいの練習でやっていたのが、10年前の強いチームの練習の取り組み方が全国に広まり、今や全国どこのチームも当たり前に週5で練習している。なので「取り組みレベル」では各チームそこまで差がない状況です。
でも、チームとしては差があります。
この差が何によって生み出されているかと言うと、シンプルにリソース(部員数や練習環境の良さ)です。ケータイの市場でもそうですが、均一化された環境においては完全にリソース勝負になります。つまり、今のラクロス界もリソースの大きいチームが勝ちやすい世界だということです。
じゃあリソースの小さいチームはどうする?
だんだん本題に近づいてきましたが、岩手大のようにリソースが小さいチームはどうすればよいのかというと、もうこれは2つしかありません。
①リソースを大きくする
②イノベーションを起こす
この2つです。
まず僕が思うに、今のラクロス界はケータイで言ったらまだガラケーレベルだと思っています。だから、他社との勝負ポイントはカメラの画素数とか広告規模みたいなリソース勝負です。ここを一変させるために②をしようとしたのが昨年の僕でした。つまり、ラクロス界のiPhoneを作ろうとしたんです。
そして、僕がとったアプローチが
戦術&練習内容の変化
でした。
これらを変化させることでイノベーションを生もうとしたんです。
それが「No.6」のような戦術であったり、「ロンド」「鳥かご」のような練習メニューです。(「ロンド」「鳥かご」の練習メニューについて聞きたい方はDMいただければ全部答えます)
戦術や練習内容の変化ではリソースを覆すほどの大きな変化は生めない
ということです。
この経験が、
「運営・環境」を変えなければいけない
と思うようになった最大のきっかけとなりました。
ただ、戦術や練習の大きな変化は決して悪かったわけではありません。それでも過去のチームより圧倒的に成長したので。でも変化が足りなかった。もっともっと変化しないと全国の強豪チームと渡り合えるまでにはならないことを学びました。
というか、そもそも100人以上のチームに30人程度のリソースで戦ってるわけで、それをひっくり返すほどのイノベーションを起こすのはそう簡単ではありません。イノベーションなんて起こそうと思ってできるものじゃないです。。
やはり、もっと根本的な何かを変えないと本当の意味で厚みのある強さを手に入れることはできないということなんですね。
なぜここに気づかなかった?
チームを強くするためには、大きな変化を生まなければいけない。
その上で考えなければいけないのは
①リソースを大きくする
②イノベーションを起こす
この2つ。
僕は今でもこの考えは変わっていなくて、その上で今年はどうしようかと悩んでいました。が、最近になってふと思いました。
「なんで①を捨てて考えた?」
そう、最初からリソースはしょうがないと諦めて②にばっかり注力してたんです。
たしかに岩手大は学生数が4,000人超と少なく、そもそもの母数でがっかりする人数です(笑)ちなみに東北大や新潟大、東北学院大は軽く1万を超えます。
でも、入部率を高めればリソースだって大きくなります。ハナから諦めてんじゃねーよという話でした。。
そしてリソースというのは何も部員数に限ったことではありません。
練習環境、資金力、支援…そんなラクロスのプレーには直接関わらないものもリソースになります。
ここでやっと繋がります。
この「リソースを高める活動」こそがユニット活動なんです。
まとめ
最後に今回のまとめです。
「ユニット活動」はリソースを高める活動である
↓
リソースを高めるとチームに大きな変化を生む
↓
大きな変化はラクロスのプレーレベルにも影響しチームが強くなる
これが、最初の方で言った、
ユニット活動は「風が吹けば桶屋が儲かる」的なものですよ
というのを表すロジックです。
以上、今回はユニット活動の意味についてお話しました。
次回は、もう少し具体的に、現在どんなユニットがあるかというお話をしたいと思います。
ではまた!
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