【日本ラクロス界を驚かす1年生育成への挑戦③】見えてきた光明
基礎を疑う
こんばんは。
岩手大学HCの佐藤陽一です。
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さて、今回は『1年生育成の新たな形』というテーマでお話します。
先に言うと、僕はこの新たな育成の形にめちゃめちゃ可能性を感じています!
とりあえずいろいろやってみて続けているもの&変更したもの
1年生への本格指導から約2ヶ月が経過しました。
今シーズンはとにかく様々な練習施策を試しながら1年生の成長を見守っています。
↓↓どんな施策を試しているかは前回までの記事で書きました↓↓
いろいろ試行錯誤してやってはいますが、これらの取り組みで続いていることとしては
「練習メニューの公開」
です。
これはTwitterとInstagramで毎日1つ練習メニューを公開しているものですが、とりあえずやっているメニューはすべて公開しています。
現在70個のメニューを公開していて、今後は少なくとも100メニューは考案・公開する予定です。
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あとは岩手大1年生のYou Tubeチャンネルも継続中です。
以前はダダ流しで編集もせずアップしていましたが、現在はちょっと内容を変更して、Vlogみたいな感じで1日の練習を10〜20分程度の動画にまとめています。こちらは岩手大の分析ユニットに動画編集をやってもらってます。(イイ仕事してくれます)
ちなみに、これらの動画は僕の本気の指導風景も撮ってもらっていて、練習メニューのポイントも映り込んでいます。ありがたいことに自分の振り返りにもなっています。
新たに取り組み始めたもの
前回の記事では紹介してないのですが、新たに取り組み始めた育成方法が2つあります。 これが今回のメインの内容で、僕がビンビンに可能性を感じているものです。
それが以下の2つ。
①1年生が自分たちで練習メニューを作る
②リープフロッグ
です。
ここからはそれぞれについて解説していきます。
①1年生が自分たちで練習メニューを作る
これはタイトルの通りで、岩手大の1年生は現在
自分たちで練習メニューを考え、自分たちで練習を実施
しています。
先輩やコーチからメニューを提示されてそれをそのまま実践する、ということはしていません。
(ただし、僕がいるときは必ず1メニューだけ僕の考案したメニューをやるようにはしています)
これによる効果は言うまでもないですが、自主性がつきます。
そして、練習の意味を考えるようになります。
つまり、
「何のためにその練習をするのか?」
「この練習が何に活きるのか?」
を考えながら練習するのでコナシになりにくい。
さらに言えば、彼ら彼女らはラクロスに完全に染まっていないので、意外な視点で練習メニューを考案してくれる…かもしれません。
(今はまだまだ既存メニューが多いです。本当はこれまでにない意外な練習や、綿密に計算されたメニューを積極的に作って欲しいのですが。。今後に期待ですね)
ちなみに「彼女ら」という言葉をつかってるのは、この練習メニューは選手だけではなくスタッフ陣も一緒になって考えているからです。
これは僕自身とってもこだわっていることでもあります。
②リープフロッグ
おまたせしました。
ここからが今シーズンの1年生育成の挑戦で最も可能性を感じている話です。
結論から言うと、
基礎をすっ飛ばして応用スキル(スーパープレイ)中心の練習をする
という育成方法です。
これによってリープフロッグが期待できるんです。
このリープフロッグこそ僕が実践してきた1年生育成の挑戦の根幹となる考え方です。
今まではイメージばかりでうまく言葉に表現できなかったのですが、一緒にコーチをしてくれている敬雅(たかまさ)のおかげでようやく言語化でき、ブログに書くことができました。
(もちろん、この育成方法で1年生が飛躍的に成長しているからこそ書ける内容でもあります。1年生のみんなありがとう!)
リープフロッグ現象とは…
「leap(リープ)」は「跳ぶ」、「frog(フロッグ)」はカエル。二つの単語を合わせた「leapfrog(リープフロッグ)」は、そのまま「カエル跳び」という意味になります。
この「リープフロッグ現象」はビジネス用語で、
道路、電気などの基礎インフラが整っていない地域が、最先端技術の導入により一気に発展すること
を指します。
例としてあげられるのが、アフリカの物流です。
現在、アフリカのルワンダでは輸送用血液や医薬品といった人命救助のための物資がドローンを使ってガンガン運ばれているそうです。
これ、日本やアメリカなどの先進国ではそうはいきません。なぜならドローンで荷物を運ぼうとしても安全の問題や市や県の許可といった法規制の問題があるからです。
結局これが障壁となってしまい、技術はあるのに実現できず、今もなお既存の物流(宅配便)に頼ってしまっている状態です。
アフリカの最先端ドローン物流は、インフラが整ってないからこそあっさり社会実装されたというわけですね。
ラクロスでもリープフロッグ現象を起こす
これまでの先進国が歩んできた道のり、たとえば農業→軽工業→重工業→サービス業といった段階的な発展を経ずに、いきなりICTを使った先端テクノロジーでイノベーションを起こし、ダイナミックに発展する。
このような革命的発展をラクロスでも起こせないか?
というのが今シーズン岩手大が取り組んでいる1年生育成の挑戦です。
具体的なメニューについてはTwitterやInstagramで公開していますが、
片手中心のプレーや海外のスーパープレーなど、世間的には応用と言われているスキルを最初から練習しています。
↓↓
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1年生はそもそもラクロスを全く知らない白紙の状態です。
だからこそこのような練習を積極的に取り入れることで、これまでとは違う別世界に飛んだような上達を見せてくれています。たとえば、片手ビハインドはできるのに利き手じゃない方の普通のパスができないなんていう1年生もいます。
これが今シーズンの岩手大リープフロッグ世代です!笑
そもそもラクロスの基礎ってなにか?
この育成方法にたどり着くまで、僕はずっと
「ラクロスの基礎ってなんだろう?」
と考えていました。
ラクロスの基礎というものをひたすら疑っていたんです。
たとえば、
縦に振る、ボックスに投げる、両手で持つ…
これらはよく言われる基礎です。
でもこれって本当に基礎なんでしょうか?
そもそもラクロスのスキルって完成しているんでしょうか?
完成しているなら基礎はあるかもしれませんが、ラクロスはまだまだ発展途上のスポーツです。
だから、
「基礎という概念をつくるべきではない」
と僕は結論を出しました。
それが基礎だと教え込まれた選手たちは、インフラがしっかり整った先進国のように、ガチガチの規制から抜け出せず、最先端のスキルを駆使できないかもしれません。
さらに言えば、基礎(と言われているもの)を教えるのは簡単です。
それは教える側の僕もできることなので。
でも、それで異次元の選手ができるかはちょっとギモンです。
僕の個人的な欲求ですが、優等生は育てたくないんです。
僕は「ラクロスの概念を変えてしまうような異次元の選手(チーム)」を育てたい。
今シーズン取り組んでいるのはそのための1年生育成の挑戦です。
1年生だからこそできる、岩手だからこそできる、そして…
「基礎を疑い、最先端のスキルを最初から取り入れてリープフロッグを狙う」
このような育成方法は1年生だからこそできるものです。
さらに言えば、岩手大だからこそできるものです。
もし僕が早稲田のような強豪校でコーチをしていたら同じような挑戦はできないと思います。確実に成果の出る方法で教えなければいけない伝統というプレッシャーがあるからです。
さらに、このリープフロッグを「チームとしても起こしたい」という場合も同様です。
もし、岩手大が部員数も多く練習環境に恵まれていたら、現在主流の戦術で戦って確実な勝利を目指します。でも岩手大はそんなチームではありません。
岩手大はリスクと挑戦を背負わない限り絶対に勝てないニッチなチームです。
最後に、日本ラクロスはどうでしょうか?
アメリカ、カナダというラクロス先進国を超えていこうとするのであれば、リープフロッグは狙うべきです。アメリカやカナダができない最先端のスキル、戦術…それを見つけて取り入れて育成することができれば、まったく違う土俵に持ち込んで圧倒できるかもしれません。
世界から見たら日本は十分ニッチなチームです。であれば、アメリカやカナダのやり方、考え方を参考にして育成、強化してる場合じゃありません。
日本独自の育成、日本独自の戦術、日本独自の選手、日本独自の能力…そんなメイド・イン・ジャパンを創り出して世界と戦うほうが絶対オモシロイです。
岩手大はこれからも他チームがやらないことに挑戦していきます。
ときにはリスクしかないかもしれませんが、もしかしたらその中からラクロスの概念をひっくり返すイノベーションが生まれるかもしれません。
岩手から日本ラクロスの未来へのリープフロッグを。
そんな「RAVENS MODEL」を創り出せるよう取り組んでいきます!
今回は以上ですー!
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