チームの雰囲気が悪い時にすること

多分どのチームも一度は課題にあがること

こんばんは。

岩手大学HCの佐藤陽一です。

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さて、今回は『チームの雰囲気を変えて高めるためにどうしたら良いか?』について。

 

「チームの雰囲気」とは?

よく、練習中に緊張感がなかったり、集中力が欠けていたりするときに

「チームの雰囲気が悪い」

と言ったりします。

 

「雰囲気」という言葉自体がそうですが、これはとってもあいまいなものです。

でも、間違いなくこの雰囲気の良し悪しは感じることができます。

 

そして、雰囲気が悪いときは練習に限らず試合でもいい結果を生みません。

 

だからコーチとしてはこの雰囲気が悪くなるのは避けたい。

そして、雰囲気が悪くなったらすぐに修正したい。

でも、これがとっても難しい。

なぜなら、修正の仕方っていろいろあって、どれが正解なのかわからないから。

やり方を間違えると逆に雰囲気を悪くしてしまうキケンがあります。

岩大の雰囲気が悪いのは環境のせい

ところで、お恥ずかしい話ですが、全国の強豪校と比べると岩手大はチームの雰囲気がすぐ悪くなります。

 

でも、正直これはしょうがないことだと思っています。

なぜなら、岩手大は練習環境がすこぶる悪い

・チームの人数が少ない(40人程度)

・練習試合もほとんどできない地区の環境(一番近い対戦相手まで200キロ)

・冬寒い(本州で一番寒い)

・グラウンド状態よくない(ボコボコの土)

・部員の大半が貧乏(最低賃金790円)

この状態ではチームの雰囲気(メンタリティ)はけっこう簡単に崩れます。

 

「チームの雰囲気の悪さを環境のせいにしてダサいな」

と思われるかもしれませんが、

チームの雰囲気は環境が作るものだ

というのが僕の意見です。

メンタリティ(やる気、モチベーション)は環境ですべて変わります。

一卵性の双子が別々の環境下で育つと性格が変わるという実験と一緒(?)です。

 

もし「メンタルは環境じゃなくて個人の気持ち次第だろ!」と思う方はぜひ想像してみてほしいです。

 

「今の部員数が半分になったら…」

「練習試合するために往復4,000円のバスで3時間弱の距離を移動し、試合が終わったらまた3時間弱かけて帰る…」

「人工芝での練習が毎日土グラウンドに変わる…」

「マイナスの気温での練習…」

 

これでメンタリティを維持できるでしょうか?

 

やっぱりメンタリティ(もといチームの雰囲気)は環境にめちゃくちゃ左右されやすいものなんです。

じゃあどうしましょう?

全国には岩大以上に環境の悪いチームはあると思います。(ともに頑張ろう!)

そして、環境はそう簡単には変えられません。

なので、環境が悪いなら悪いなりにいろいろ策を打たないといけません。

 

結論から言うと、チームの雰囲気を高めるためにすることは

①チームを鼓舞する

②悪い環境をなんとかして良くする

③そもそも雰囲気が下がりにくい練習をする

の3つです。

 

そして、それらをまとめて抽象化すると、

「刺激をあたえる」

ということです。

 

僕自身、岩大のすぐ崩れるチームの雰囲気と毎年のように戦ってきましたが、今のところ刺激を与え続けるしかないと思っています。

 

「岩大ってなんかいろんなことやってんな」と思う人も多いかと思うのですが、実はこれが根底にあるんです。

つまり、新しい刺激を与え続けないとチームの雰囲気が悪くなって練習も運営もダメになってしまうからいろいろやってるというわけです(笑)

まさに危機感からの向上心(僕はこれを「後ろ向きな向上心」とか「マイナスの向上心」と言ってます)ですね。

↓↓2種類の向上心については以下記事で書きました↓↓

www.lacrosse-coaching.com

 

では、ここからはその①〜③の「刺激」でどんなことをやっているのか簡単に紹介したいと思います。

①チームを鼓舞する

これはシンプルに

「ゲキを飛ばす」

です。

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コーチがゲキを飛ばすことでピリッとした空気を作って気持ちのスイッチを入れさせるというものです。

そもそも「ゲキ」というと賛否ありそうですが、僕はゲキはチームの雰囲気を変えるひとつの有効手段だと思っています。

 

ちなみに、今シーズンは意外と(上級生に)ゲキを飛ばしているなぁと感じています。#1年生はやる気もあってかわいいので怒れないw

そのときの世代の特徴にもよるんですが、今の部員たちは自己主張が控えめでおとなしいメンバーが多いので、あまり強く言う人がいないんです。

そうなると僕が言うしかない…

ゲキを飛ばすのってめちゃくちゃ疲れるんですが、ぐっと気持ちをかためてゲキを飛ばしています。

 

「ガキじゃないんだから」

は最近の定番ゲキです笑

 

さらに、「コミュ障は悪」「"暗い""喋らない"は絶対にやめろ」というのは何度も伝えています。

ちょっとツヨめの意見になっちゃいますが、僕はコミュ障を一切認めていません。

最近の世の中的に「コミュ障」は謎の市民権を得ていますが、もしこの状態の部員がいたら全否定します。「性格を変えろ」とまで言います。

別にコミュ障が嫌いというわけではなく、「声をあげない」というのはとてもキケンなことだからです。

「自分の意見を言う」以上に、ときには「ヘルプの声」も必要です。つまり、「困ってるから助けてほしい」という声のことです。

それがないと部員たちを守れません。ヘルプの声をあげてもらうだけでいくらでも状況は良い方向に変わるのに、それができないだけで抱え込んでしまう部員をたくさん見てきました。

もちろんそれを見逃さないための場として個人面談とかもやってますが、やはり根本の性格のせいで声をあげられない部員も中にはいます。だから、コミュ障については早い段階から改善させなければいけません。

 

「コミュ障を認めない文化をつくる」というちょっとコワめのお話でした。

 ②悪い環境をなんとかして良くする

これはこのブログでもよく話題にあがっているユニット活動だったり、マウスピース等の様々なプロジェクトです。

なのでここではあまり多くは書きませんが、悪い環境というのはラクロスの練習や試合ではなく、どちらかというと運営面に問題があることが多いので、それをなんとか変えていこうという試みですね。

 

ちなみに部員たちには話していますが、

「ラクロスをやらない部員はいてもいいし、むしろそういう部員が必要」

というのが僕の考えです。

だってプロのサッカーチームは、「広報」とか「営業」の人がいるわけで、その人たちはサッカーをプレーしないじゃないですか?
プレーしないかわりに運営でチームを支えている。

僕はこんな感じで、ラクロスをプレーしない部員、選手に直接絡まないけど部の運営を支えてくれる部員、そんな部員たちも含めたラクロスチームをつくりたいと考えています。

③そもそも雰囲気が下がりにくい練習をする

これが今回の内容で一番こだわっていることかもしれません。

なぜなら、これって指導者としての能力が一番問われる気がしていて、ある意味ウデの見せどころだからです。

ポイントは、

部員たちが無意識に自然と行動を起こしちゃうような仕組み

をつくることです。

 

「自然と行動を起こしちゃうような仕組み」の例をあげるとすると、

 

イスを5つ並べ、その中の1つに「ペンキ塗りたて」という注意書きを立てておく。

すると、それを見た人は本当にペンキが塗りたてなのかを確かめたくなるもしそんな注意書きがなかったら確かめようともしないのに。

 

他にも、

「ラクロスのシュートで大事なのは3つあって、スピード、コース、タイミングです」

という文章を見たら、赤文字になってる「タイミング」を一番重要なものとして意識してしまう。大事なのは3つだと言ってるのに。

 

みたいな感じです。

 

このような「人の行動を操作する心理的な仕組み(注意書きや赤文字みたいな)」を練習に組み込むことができれば、部員たちは無意識に自主的かつ意欲的に練習に取り組めます。

#宗教感でてますか?笑

そこにはわざわざ自ら気合を入れたり気持ちを入れ直したりするストレスがありません。指導者側も①のような鼓舞を頻繁にやる必要もありません。部員が無意識的に自然と頑張っちゃうので。

練習での具体例

んで、肝心の具体例ですが、

たとえば

①ホイッスルを常備してすぐに吹けるようにする

②練習にゲストを呼ぶ

といった感じ。

 

①については、ホイッスルをうまく吹くことで、練習中の素早い切り替えを誘導できます。テンポよく鳴らせば選手たちの行動を急かすことができるし、練習メニュー間のダラダラを防ぐこともできます。笛に反応してしまうのは人間の性です。

また、②のように練習にゲスト(例えば元日本代表とか)を呼べば一緒に練習する人たちにとって新しい刺激となります。選手たちはその人から学び取ろうと意識するので、ゲストがいてくれるだけで有益な練習となります。

 

が、実は理由があって上記については僕は積極的にはやっていません笑

でも、とても有効なのでやるべきです。

僕が積極的にやらない理由は、「これをするのは僕じゃない」と思っているからです。

①についてはスタッフが率先してやればいいし(ただのタイム管理の笛だけするスタッフになってほしくない!)、②も僕が頑張ってやらなくたって簡単に実現できます。これくらいのアイディアと行動力は部員たちだけでも考えて実践できるものなのでそこは完全に任せたいんです。

 

そして、僕が実際に考えて練習に取り入れている仕組みはこの他に2つあります。

が、ここでは紹介せずオンラインサロン内での紹介としています。興味あればぜひ入会申請お願いします。

※ただし、「現在どこかのチームに所属している」を入会条件としています。また、申請時に表示される質問に回答していただけない方は申し訳ないですが否認していますのでご注意ください。

 

というわけで今回は以上ですー!

 

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