チームの基準を下げるな!
監督になりました
おはようございます。
岩手大学HC改め、監督の佐藤陽一です。
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今回は新体制に移行するときに注意すべきことというテーマでお話ししたいと思います。
その前に、ご報告です。
来シーズンよりヘッドコーチという肩書ではなく、
「監督」
としてチームに関わることにしました。
ヘッドコーチはこれまで一緒にコーチをやってきた野本敬雅がつとめます。
このような体制にした理由としては、
岩手大がもっと強くなるためには
「運営力」を強化
しなければいけないと思ったからです。
これについては以前から声を上げており、徐々に良くなってはいるのですが、正直まだまだ甘い。
なので、この「運営」にもっともっと注力するために僕が監督、敬雅をHCとしたわけです。
とはいえ、もちろん運営ばかりではなく戦略にもタッチします。
戦略考えるのとか好きですし、まだまだ未公開の戦略もたくさんあるので。
来シーズンもたくさんチャレンジしますのでぜひご注目ください。
※以下は全体ミーティングで伝えたスライドの一部です。
新体制への移行
今日のメインの話です。
今年もまた新体制への移行シーズンがやってきました。
岩手大の新体制は選手20名、スタッフ10名となります。
今はまだ4年生が来てくれているので練習もそこそこ人数がいますが、4年生が役目を終えたらこの人数です。
これで全国に乗り込もうとしているんだからシビレますね笑
正直この人数はきついです。。
ゴーリーも1人しかいません。ゴーリー1人では試合できないので、いよいよコンバートも視野に入れなければいけません。
こんな感じで考えなければいけないことが盛り沢山です。
でも、この制限された中だからこそ生まれるものがあります。
まだチームには言っていないですが、東北を突破して全国に行くためのものはできあがっています。あとはやるだけです。
僕も敬雅も久々に自信があるものができたので、あとはどこまで完成度を高められるかが勝負だと思っています。
新体制と基準
先ほど、「どこまで完成度を高められるか」という部分を強調しました。
実はこの部分が新体制移行時に最も心配なところなんです。
なぜなら、新体制になると必ずレベルは下がった状態でスタートするからです。
多くのチームがそうだと思いますが、世代が変わるとチームの競技レベルはガクンと落ちます。最も競技レベルの高い4年生が引退するので仕方ありません。
落ちた競技レベルを1年かけて上げていき、次の4年生がまた引退したら競技レベルが下がり、また1年かけて上げていく…。
この繰り返しが大学スポーツです。
指導者としては、この一度下がった競技レベルを1年間でどこまで上げられるかが腕の見せどころなのですが、僕としては新体制時に行う「あること」がその後の競技レベルの向上に大きく関わると思っています。
それが
「基準」の設定
です。
ここで言う基準とは「取り組みのレベル」だと思ってください。
例えば、
・練習に遅刻しない
・練習時間を多く確保する
・細部にこだわる
みたいな、
「どこまで真剣にラクロスと向き合っているか?」というストイックさ
のようなものです。
新体制時にはまずこれを上げなければいけません。
ちなみに、この基準は個人ではなく「チームとしての基準」です。
なので、「おれは以前より頑張ってる」とか「私は効率的にできている」みたいな個人的なのとは違います。個人の基準が上がったとしても、チームやユニットとしての基準(取り組みレベル)が変わってなければ全く意味がありません。
例えば、シンプルに部の人数が減ってそもそもの基準(取り組みレベル)が下がってしまっている状態なら、その人数の減少をも凌駕する新たな基準を設定しないとダメだということです。
なぜ基準を上げなければいけない?
これに関しては、「基準を上げなければいけない」というより、「下げると後々大変なことになるから絶対に下げるな」といったほうが良いかもしれません。
一度下がった基準は、次の世代、そしてそのまた次の世代と受け継がれていきます。このときに怖いのは、世代交代が進むにつれて基準が下がっていることに気づけないことです。
ちょっとわかりづらい表現をしてしまいましたが、例えば、
仮に次の4年生(現3年生)が新体制時に基準を下げ、来年4月に新入生が入部したとします。すると、新入生はその下がった基準がベースになります。
この時点で新入生は「実は基準が以前よりも下がっている」ことはわからないんです。
新しい環境に飛び込んだ新入生にとってはその下がった基準こそがスタートラインであり、入部した瞬間に基準の高い他チームの新入生に差をつけられているわけです。
ラクロスはゼロから云々のスポーツと言われていますが、入部したチームの基準次第で最初から全て覆ります。
というわけで、新体制で一番やってはいけないのは「昨年同様」「現状維持」です。
チームの基準、ユニットの基準を変えない活動は未来のチームを弱体化させる行為なんです。
ちなみに、前回の記事でも書きましたが、岩手大はこの基準の設定で過去に失敗しています。
基準よりも戦略に目が行き過ぎた時期があり、ズルズルとレベルが下がってしまったんです。
それもあって、昔の優勝世代と現在の世代とでは基準にかなり差があります。そこを修正できなかったのは完全に僕のミスです。まだその頃は基準の概念に気づいていませんでした。
だから、基準に気づいた今、来年度はとにかく色々やって上げていかなければいけない!
ただ、そうなると部員たちにはストレスをかけてしまいます。どうしたって「今よりも基準を上げろ!」「取り組みレベルを変えろ!」と言われるのは嫌なものです。
でもやらなきゃいけません。何度も言いますが、「昨年同様」「現状維持」は衰退の始まりです。
部員の反感をおそれて甘やかしたり過保護になってはいけないんです。
「チームの基準を上げること」が監督としての僕のミッションです。
来年度も非常にタフなシーズンになりそうです。
基準の上げ方
では、具体的に基準はどのように上げたら良いのでしょうか?
僕が考えるに、基準の上げ方は2パターンです。
①誰かが先頭に立ち、チームにストイックさを浸透させる
②無意識の行動を誘発できるようにデザインする
解説すると、
①は、誰かが心を鬼にしてチームを鼓舞し続けるというものです。これがコーチなのか幹部なのかはわかりませんが、自分に厳しく他人にも厳しい人が良いと思います。特徴としては筋トレ好きなやつですね笑
②に関しては前回の記事で書きましたのでそちらを参照ください。
ちなみに、①も②もどっちも必要です。②だけでできるほど甘くはありません。とは言え、②がたくさんできれば最強なんですが。
と、こんな感じで、基準を上げる方法はざっくりこの2パターンで考えています。
基準が最初から高いおもしろい事例
先日、岩手大が初優勝したときの教え子と会いました。2人で色々喋ったのですが、彼のエピソードがとてもオモシロかったので紹介します。
彼は現在大手ゼネコンに勤務しており、ダム建設に携わる現場監督的なことをしています。そんな彼がまだ入社したての頃は、震災間もない時期ということもあり、めちゃめちゃ激務だったそうです。独身だった彼は会社が用意したプレハブ(プレハブといってもとってもきれいな住居)に上司や先輩と共同で住んでいました。正確には“住まわされていた”と表現したほうがいいかもしれません。
僕はこの状況を聞いたとき「とんでもない地獄だな」と思いました。家に帰っても上司や先輩がいるなんて、普通だったら心が休まりません。
しかし、彼にとってはそこまでキツイものではなかったようです。
なぜなら、入社してすぐにその環境に入れられた彼にとっては
「これが働くってことなんだ」
「これが仕事というものなんだ」
と、知らないからこそ受け入れられる状態ができていたからです。
その結果、上司や先輩からたくさんのことを密に教わり、最短で「仕事のベース」ができたようです。
このように、ある程度他の会社の働き方を知っている人からすれば最高にブラックな環境でも、それを比べたことのない真っ白な新入社員からすれば、抵抗も少なく順応できるというわけです。
ちょっと怖いですが、これも「基準」です。
まとめると、
・基準が最初から高い環境に投げ込まれれば、人はわりと自然に順応し、早いうちから高いレベルを発揮することができる。
・逆に、これがなくて低い基準から高い基準に上げようとするのはかなりストレスがかかるので、別の問題が出てくる可能性がある。
ということです。
余談ですが、上司や先輩から徹底的に基礎を叩き込まれ、仕事を叩き込まれ、彼は立派になっていました。気配りもよく、とても丁寧な男になっていました。
ただ、あまりに丁寧すぎて自分のことを「わたし」と言っちゃうので、僕と話すときくらいは「わたし」というのはやめてほしいなと思いましたが…笑
#敬信また飲もう!
基準を上げ続けてベースアップ
チームが強くなるためには「基準」の設定は必要不可欠です。特にこれは長期的に見たときに効力を発揮します。
まだ何も知らない新入生が入ったときに「さも当たり前」のように高い基準で取り組むチームは、新入生が入るたびに強くなります。
よく、一度強くなったチームはその後数年は安定して強いという話を聞くと思いますが、それはこの基準の設定がうまくできているからです。
「どこかで一旗あげたい」「今年からチームを大きく変える」
新体制時にそのように考えるチームは多いと思いますが、そんなときはまずは基準の設定から始めてみるのをオススメします。
ぜひ「基準」という名の「新しい当たり前」を作ってみてください。
今回は以上ですー!
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