【学生たちへ】コーチに報酬を渡してますか?
Takerになったらコーチはいなくなるよ
おはようございます。
岩手大学監督の佐藤陽一です。
https://linktr.ee/yoichilax2044
↑↑↑
オンラインサロン、Facebook、Twitter、Instagramでもリアルな育成情報を発信しています。ぜひ!
なお、オンラインサロン『ラクロスの哲学』ではラクロスコーチングにまつわる様々な話を発信しています。例えば、ブログの深堀や今やっている新たな挑戦…といった内容です。
現在サロンメンバーは99名となりました。ありがとうございます!最近どんどん増えているので嬉しいです。
※ただ、質問に答えないで申請される方がとても多いです。
申請の際に表示される質問に必ず答えるようにお願いします。
回答されていない方は一旦否認させていただいています(申し訳ありません)
興味のある指導者の方、チーム代表者の方はぜひ!
↓↓入会方法はこちらの記事を参考に↓↓
◎今回のテーマ
Takerのチームは損するよ
新体制はいろんな問題が起こる
新体制のチームが増えてきていますが、皆さんのチームは現在どんな様子でしょうか?
ちなみに岩手大は絶賛混乱中です。笑
新チームのテーマは「Chaos(カオス)」なんですが、ホントに文字通りチーム内がごちゃついています。
この感じは久々です。
例えるなら、僕のコーチ就任2年目みたいな感じ。(OBの皆さんは察してください)
詳細についてはこの場では伝えず、オンラインサロン内でお伝えしたいと思います。サロンメンバーの方々の参考になれば幸いです。そして、そんなヤバい状態からどのようにチームが作られるのかも見守っていただけたらと思います。
さて、そのような新体制時のごちゃつきは岩手大に限らずどのチームも抱えているはずです。
その中でも特に多いのが「コーチの問題」です。
コーチを探しているチーム
先日、ある女子チームから相談をいただきました。
※最近全国のチームのお悩み相談(コンサル)を始めました。DM等いただければ相談乗りますので。
相談内容としては、
今までコーチをやってくれていた方がチームから離れてしまい、今後のチーム運営をどうすればいいか悩んでいる。
その上で「新しい指導者の探し方と関わり方」を聞きたい。
ということでした。
実は、この相談がきたときは僕自身ちょっと悩みました。
なぜなら、一見すると「指導者を見つけたい」という内容ではあるのですが、根本を知らないことにはアドバイスができないからです。なので、最初にお話ししたときにはいろいろ質問させてもらって、チーム状況や彼女たちが抱えている根本的な課題を探ることからはじめました。
その結果、「指導者を見つけたい」という思いの根本にあるチームの問題点をあぶり出すことができました。
それが以下のような感じです。
指導者を見つけたい
↓
どんな指導者がいいのか?
↓
定まっていない
↓(なぜ?)
どんなチームを作りたいのかが定まっていないから
つまり、そもそもどんなチームを作りたいのかが定まっていないために、理想の指導者像が思い描けてなかった、ということです。
なので、このチームがやるべきことは「どんなチームにしたいか」を定めることで、ここに指導者を絡めるのであれば、
①その答えまで導いてくれる指導者
か、もしくは逆に
②「こんなチームにしろ」と提案して一緒に作ってくれる指導者
を探せばいいわけです。
ちなみに、僕は②タイプです。
コーチング的には①タイプが理想とされていますが、やっぱり一緒に考えて監督自らガンガンいろんなことを提案していくほうが僕は好きなので。もちろん、選手から「これはムリっす」「こんなのどうでしょう?」となったらすぐに切り替えて考えてまた一緒にやっていきます。
ついでに言うと、僕としては②タイプのほうが選手たちにとってイメージが膨らみやすいと思うんですよね。①だと、たしかにコーチングの基本である「答えを持っているのは選手」ということで、導き出せたときの納得感は強いのですが、具体的行動まで持っていくのが難しいと感じます。考え続けてシーズンが終わるというか、深みにハマると言うか…。ラクロスの発展、チームの発展ということを考えると一般的なコーチングではスピードが遅い気がしています。
なので、そうなるよりは、いくつかの答えを用意して指導者自らバンバン提案して取捨選択しながら新しいものも考えて、また試して取捨選択して…というサイクルでチームを作り上げていくほうが刺激的で楽しいと思うんですよね。チーム作りは約1年しかできないわけですから。
「コーチを探す」のもっと根本の話
ここからが今回の本題です。
先ほどは指導者探しの話題でしたが、視点を変えて、
「なんでコーチがチームから離れてしまったのか?」
を考えてみましょう。
そもそも、コーチがチームから離れなければ指導者探しなんてしなくても良いので。
これについてはちょっと残酷な話になってしまいますが、コーチがチームから離れる一番の理由は、
「コーチをしたいと思えるようなチームではないから」
です。
ただ、中には転勤で遠方に行ってしまうからコーチは続けられないという人もいます。そして、学生たちもあっさりそれを受け入れるケースは珍しくありません。でも、そんなのは都合のいい解釈です。
実際、東北学院大のコーチをしている鈴木優也氏は、昨年関東への転勤で仙台を離れてしまいましたが、今でも東北学院のコーチを続けています。遠方だろうと「このチームのコーチをやりたい」と思えるチームであれば関わり続けてくれるものなんです。
どうすればこのチームでコーチを続けたいと思ってもらえるか?
では、そのように思わせるためにはどうしたら良いでしょう?
ただその前に整理しなければいけないのは、コーチにはいろんな人がいて、用法用量が様々であるということです。
そしてそれについては以下の3タイプに分けられると思ってください。
①「コーチをすること」と「自分の欲」がイコールの人
②コーチをすることでリターンをもらっている人
③頼まれたから仕方なくやっている人
ちなみに僕は①タイプの異常者です。全国に一定数います。(東北学院、武蔵、日体、筑波女子、中央男女の皆さん気をつけてください。近くにいますよ)
あとのコーチは②と③がほとんどです。ただ、②が一番多いんじゃないでしょうか。
ちなみに、注意してもらいたいのは、「リターン」というのはお金に限ったことではありません。リターンとは、そのコーチが欲するものです。
人によってはそれが「お金」の場合もあるし、「結果」「名誉」「成長実感」「感謝」「生きがい」のような抽象的なものを欲する人もいます。「選手の成長する姿をみるのが楽しくてやってる」というコーチは結構いますよね。
以上がコーチのタイプです。
ではここからはタイプ別にどうしたら良いか?というのを話そうと思いますが、これはどのタイプであっても同じで、たった1つのことをやってください。
それが
「必ずリターンを返すこと」
です。
「ほどこされたら、ほどこし返す、恩返しです」
です。
「Giver」「Taker」「Matcher」
「Giver」「Taker」「Matcher」という3種類の人間についてまとめられた本があります。著者はアダム・グラントという方ですが、この考え方は非常にオモシロイです。概要を知りたい方は以下の動画がわかりやすいと思うので見てみてください。
その上で自分たちのチームについて考えてほしいのですが、
「コーチはボランティアでやってくれている」
「コーチがいるのが当たり前」
という環境に甘えまくり、自分たちのことしか考えてないチームになっていませんか?
そもそも、コーチがほぼボランティアでチームにいること自体が超不自然なことです。それに対して何のギモンも抱かず、与えられるだけ与えてもらって何も返さない。そんな人やチームはここで言う「Taker」なわけです。
ちなみに、コーチ登録をするような人はみんな「Giver」であることは間違いありません。
現在、大会規約では、A級以上の指導者資格を持っている人がチームに登録されていないと大会に出られないことになっています。これの良し悪しはさておき、これだけでもほぼすべてのチームがA級以上の資格をもつコーチの恩恵を受けています。
この状況で学生の皆さんはコーチに対して何か返しているのでしょうか?
Giverとなっていい循環を生む
大事なことは「何を返すか」ではなく、
「絶対に何かで返す」
という気持ちを持つことです。
返すものがわからなくなったら「お金」というのも選択肢としてはありです。コーチの中には嫌がる人も多いですが、継続的な支援を受けたかったら金銭的な部分は無視できません。
とは言え、一番良いのは直接コーチに聞いてみることかもしれません。
「なんでコーチやってくれるんですか?」
「どうやって恩を返せばいいでしょうか?」
そんなことを聞いてみてください。
どんな回答が来るかはコーチ次第ですが、それが何であっても「返そう」という意識ができてくればいい循環が生まれるはずです。
コーチをやるような人はもともと「Giver体質」なわけで、学生から返されたらさらに大きな形で与え返してくれます。そしたら学生もそれに対してさらに与え返す…こんな循環ができればマジでいいチームになりそうです。
コーチも人間だから
今回、コーチに対して「与えられたら与え返せ」というのを書きましたが、内容的には僕自身もちょっと抵抗がありました。言葉を選ばないと下品ですし、美徳からはかけ離れている内容かもしれません。
でも、僕は、普段の生活でもそうだし、チームでもそうなんですが、やっぱりTakerとは付き合いたくないと思っちゃいます。チームにTakerがいたら絡みたくないし、そんなチームのコーチはしたくない。
先ほど、コーチのタイプで
①「コーチをすること」と「自分の欲」がイコールの人
②コーチをすることでリターンをもらっている人
③頼まれたから仕方なくやっている人
の3種類を挙げましたが、僕だって常に①だったわけではありません。何なら最初は③でした。それが、当時の部員たちが僕に対して熱意だったり恩返しだったりを与えてくれるから段々と②になっていったんです。
そして、②の状態から自分自身を見つめ直し、自己分析をした結果、今は①の状態になっています。
でも、もしかしたら今後の展開によっては③に戻る時が来るかもしれません。
人は変わります。
コーチだって人間なので心変わりはあります。
そして、その心変わりのトリガーは学生の皆さんが握っています。
やることはシンプルです。
「必ず何かで返す」
この気持ちと行動で示すのみです。
そうすればコーチも必ず教え子のみんなに良い倍返しをしてくれますよ。
それではまた!