走力と地域応援団
東京で熱く語る①
こんばんは、岩手大学HCの佐藤陽一です。
今回は「チームの意識改革について」というテーマで若干躊躇するような踏み込んだ内容でお話ししたいと思います。
同期とラクロス談義
先日東京に行く用事があり、せっかくなので誰かご飯のお相手してくれないかなと方々に声をかけていました。(まだ今ほど外出自粛要請がでていないときだったので出張も許可されました。。)
が、やはりそれでもコロナショックの影響が日に日に強くなっていた状況なので誰も都合が合わず。。
結局当日付近まであきらめていましたが、唯一大学時代の同期の親友がOKの連絡をくれて、一緒に夜メシに行くことになりました。
彼は僕と同じように大学チームの指導者をしていて(といっても彼は女子チームの指導者です)、今回立ち上げたオンラインサロンの初期メンバーでもあるのですが、どうやらなかなか厳しい環境で指導をしていました。
まず、人数が少ない。現在12人です。ラクロスは10 vs 10で行いますが、当然スタミナ消費が激しいので交代メンバーは必須です。まさに誰一人として欠けることができないギリギリの綱渡り状態でチームを作っていました。
ただ、そんな状態を彼は楽しんでいて、なかなかにオモシロなチーム作りをしていました。
今回はそんな彼のチーム作りについて紹介したいと思います。
(名前は本人希望で伏せますが、、)
面白ポイント
彼のチーム作りで面白いポイントとしては
①少人数でも戦える「個」の強さを作り上げていること
②地域の応援団がいてラクロス部の支援をしていること
ということです。
①少人数でも戦える個の強さ
まず、①の少人数でも戦える強さにフォーカスして指導しているということですが、これはまさに岩手大でも同じ境遇だったので非常に話が合いました(笑)
少人数チームの苦労は少人数チームにしかわかりません。
この中で僕が面白いと思ったのは、彼が
「個」の強さをどこに求めたか?
という部分です。
個の強さと言えばさまざま挙げられると思いますが、彼は迷いなく「走力」を挙げてそれを強化方針としていました。
これが非常に面白いです。
走るって…
個の強さを高めるという目標ができると、多くの指導者は「クロスワーク」「ショットスキル」「1ON1」…だいたいこんなところをピックアップしがちです。でも彼は自信を持って「走力」を選びました。
しかもこれは彼がチーム就任1年目の出来事です。
ここからこの走力を選んだポイントがいかにすごいかということをアツく説明しますね。笑
コーチとしてチームについたらまず教えたくなるもの
チームに新しいコーチがやってきました。そんなとき新しくやってきたコーチは最初にどんな指導をするでしょうか?また、もし自分だったらどんな指導をしますか?
まぁ間違いなく「ラクロススキル」を教えにいくはずです。
ただ、中には「運営」「チームビルディング」を最初に教えるコーチもいます。これは相当な玄人ですので一旦無視します(笑)
※当然ですが、チームの運営に問題あればソッコー対策します。ここがまず最優先で、今回はあくまでそれがある程度整った後の話です。
コーチをやるような人はそれなりにラクロススキルの知識もあるのでどうしてもスキルの指導をしたがります。(別に悪いことではありませんし、僕は絶対にスキルメインで教えます笑)
それをグッとこらえ、ラクロススキル以外にフォーカスして指導の舵を切れるというのはなかなかの胆力です。しかも彼自身、大学時代は普通に早稲田のスタメンだったわけで、もともとラクロススキルに自信がないという選手ではありません。
では、なぜ彼は迷うことなく「走力」にフォーカスしてチーム強化を行うことができたのでしょうか?
説得力
まず考えられることとして、「少人数チームだから一人一人のスタミナを高めないといけない」というのが挙げられると思います。これは当然と言えば当然で、いたって普通の考え方です。
でも彼の狙いはそこではなかったんですね。
彼の言葉をそのまま借りると、
「走力は努力した分だけ伸びる、努力が成果に直結するから自信になる」
とのこと。
つまり、
「ラクロススキルは努力した分だけ成長するとは限らない。しかし、走力は誰でも努力した分だけ強くなる。そしてそれは自分の成長を感じやすいのでチーム全員が自信を得やすい」
ということです。
・少人数でなかなか勝てていなかったチームが自信をもてるように
・少人数ならではの戦略をカバーするスタミナ強化のために
という2つの狙いをもって「走力」に特化した指導をしていたということです。
何よりすごいのが、「このチームに必要なのは自信を植え付けること」というのを明確にして、試合で勝つ以外にチームに自信をつけさせたことです。
そして、そのアプローチ方法として「ラクロススキルは人によるが、走力に関しては努力した分だけ伸びる」という説得力のあるコーチングをしたというのがまた巧みです。
説得力があればそりゃあ学生はやりますよね。
結果として彼の教えているチームは人数の欠点を感じさせない強いラクロスを展開しています。昨年の成績を見てもここから上のリーグに昇格するのはすぐだと思います。
(親友だから多少ヨイショしちゃってるのは僕も感じていますが、まぁ普通にすごいですよ)
②地域応援団
もうひとつ、彼の指導しているチームで特徴的なことを紹介します。
それが地域応援団の存在です。
地域応援団ってなんだ?
と思われるかもしれませんが、大学周辺の地域住民(商店や飲食店などを営んでいる方々)のことで、その方々が頻繁に差し入れや炊き出しをしてくれるそうです。部のスケジュールも共有してるという地域密着ぶりです。
これ全国的にみてもかなり特例だと思います。そしてめちゃくちゃ理想的な地域密着型スポーツクラブです!これをラクロスチームでできるのだからすごい。
正直この話を聞いたとき、
いや、待て待て。なんなら下心があるんじゃないか?女の子たちを狙ってるんじゃないか?と僕は思ってしまいました。(そう、僕はとても乾いた心を持っています)
でも彼曰く「地域の方々は純粋に応援してくれるサポーターだ」とのこと。
そう言うのも、彼自身がその地域の方々にしっかりあいさつ回りをして関係を深め、信頼関係を作っているからだそうで、それもあってその地域応援団にはとても助けられていると言っていました。(彼は温かい心を持っています)
だからお互い疑うことなく良い関係を築けているんですね。
自分のことを振り返ると、
たまに練習中に「これは何のスポーツ?」と一般の方に話しかけられて、そのまま長時間話し込まれて練習に戻れないときがあります。
僕はそんなときに「ちっ(舌打ち)」と思ってしまいますが、この話を聞いて悔い改めようと思いました(マジで)
必要なのは意識改革
と、順調そうに見える彼の活動ですが、今は壁にあたっていることがあるそうです。
それが「チームが逆境に弱い」ということ。接戦を制すことができなかったり、負けている状況から盛り上げていけるメンタリティがないことに悩みを持っていました。
これについては僕とも意見が合っていて、
逆境に弱いチームは「自分達で修正する能力が低い」傾向があると考えています。つまり、逆境に強いチームになりたければ「自立」したチームになる必要があるということです。
自立したチームは今直面している問題(試合で負けている状況)から逃げずに向き合って解決策を考えることができます。ところが、自立していないチームは問題に直面した時に、逃げるもしくは何かに頼る傾向があります。例えば、「コーチからの助言を待つ」や「エースに任せる」といった感じです。
これは彼と僕の経験則の話なので確証はないですが、
「大エースがいる」というチーム状況は、実はチームの自立を阻害する要因になるのではないか?
と思っています。
「エースに頼る」という無意識の甘えがチームを自立させないので、逆境に弱かったり、接戦の試合で勝ち切れないチームを作ってしまうということです。
この自立を促すために彼も僕も様々な策を講じてチーム強化をしています。
これがどんな策なのか?それによってどんな結果になったか?
ということは別の場所で具体的に語っています。(それが例のオンラインサロンです)
というわけで、チームは違えど課題は同じなので、これからもお互いの近況報告はしようということで今回の飲み会は終わりました。
やはりラクロス談義はアツかったです。
そして、実はこの翌日にはまた別の方とラクロス談義を交わしました。次回はその内容の一部をお話ししたいと思います。
今回は以上です!
<ここからは告知です>
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