GMっていますか?

東京で熱く語る②

こんばんは、岩手大学HCの佐藤陽一です。

コロナショックでいろんな対応が求められ、大変気を遣う日々ですが、引き続きアウトプットは止めずに続けていこうと思います。

 

さて、今回は前回の記事の続き。 

www.lacrosse-coaching.com

「GMという指導者」というテーマでお話しします。

レジェンドからのお誘い

まだコロナがそこまで騒がれていなかった東京出張2日目、日体大GMの佐保田さんよりお誘いいただき、ランチミーティングを行いました。佐保田さんは以前岩手に来てくれたこともあったので面識がありましたが、やはりラクロス界では輝かしい実績を持つレジェンドさんなので、Facebookで直接メッセージをいただいたときはちょっとキンチョーしました(笑)といっても、実は同い年!(僕2浪してるのでw)

現在、佐保田さんは母校の日体大でGMをされていて、組織改革に取り組んでいるそう。選手としての実績がすごいので、バリバリ動いて技術指導をするイメージを想像していましたが、今はGM。。これにはちょっと意外でした。

でも、「GMを置かなければいけない」という判断をした佐保田さんと今の自分の考えが一致していたので、話はとても盛り上がりました。

 

というわけで、今回は「GM」という役職について熱く語っていきたいと思います。

GMの役割

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日曜劇場『ノーサイド・ゲーム』(c)TBS

「指導者」というとHC(ヘッドコーチ)、AC(アシスタントコーチ)、ポジションコーチ という役職がラクロス界では一般的です。
※ちなみに、このAC(アシスタントコーチ)は勘違いされやすいポジションですが、あくまで「HCの右腕」的存在なので、ポジション別のポジションコーチとは意味合いが違います。「ACが全然選手の指導をしてくれない」という愚痴をこぼす学生がいますが、そもそもACは「HCの助手」なので、選手の指導ではなくHCのサポートがメイン仕事です。(これ指導者講習会で佐藤壮さんも言っていましたが、勘違いしてる人多いと思います!笑)

僕はとりあえずHCとしてチーム戦略や戦術、練習内容などの指導をずっとやってきていますが、最近はOB総会をつくったり、チーム内の役割を決めたりと、組織の運営体制をイジってイジってイジりまくっています。これってもはやGMです。だから僕の場合HC兼GMといってもいいかもしれません。

んで、ここがポイントなんですが、

GMって役職を置いているラクロスチームって全国にどれくらいあるんでしょうか?

 

最近はちょっとずつ増えてきている印象ですが、多分全国的に見たら結構少ないと思っています。(特に地方は)

 

そして、僕の個人的な意見を言わせてもらうと、このGMという役割はかなり重要です。

 

特にこの重要性を感じてもらいたいのは、コーチ不在でコーチ募集をかけているチームです。

新シーズンを迎えると、SNS等で「コーチ募集」の投稿をよく目にします。
しかし、コーチを募集するくらい指導者に困っているチームであれば、コーチの前にGMにこそ就いてもらうべきです!なぜなら、そのようなチームはそもそもの運営を変える必要があるからです。
コーチがいないから上手くいかないのではなく、チーム運営が上手くいってないからコーチがいないんです。

これは意外と気づけない考え方です。

といっても、これは僕自身、最近アップデートされた考え方で、つい2年くらい前まで「そもそもGMなんて必要ない」と思っていたのですが。。

GMは運営、HCは現場

そもそもの役割の違いをざっくり説明すると、

・GM ⇒ 運営責任者

・HC ⇒ 現場責任者

です。

(ちなみに「監督」という役職はHCとほぼ同じです。競技や国によって指揮官の呼び方が違うという解釈でいいと思います)

先ほども書いた通り、僕の場合はメインは試合の戦略や戦術、練習、選手起用などの現場仕事を請け負っているため、役職としてはHCです。ところが、いつのまにか運営にまでたくさん口を出すようになったので、GMでもあるわけです。

ラグビーではこのようにHCとGMの兼務をしている人を「総監督」なんて呼ぶみたいですが、、そう呼ばれるのはちょっと抵抗があります(アイドルグループの影響のせい?)

他になんか良い呼び名ないですかね?笑

「CEO」的な。

弱小チームの問題のほとんどは「運営」

さて、このGMの役割である「運営」責任についてですが、そもそも勝てないラクロスチームというのは、この運営面に問題を抱えていることが非常に多いです。(自信を持って断言します)
学生主体という特徴が強いスポーツのため、自分達を律することができないチームはルール作りも管理も甘くなりがちだからです。

もしかしたら、偏差値が高い大学が強いのはこの部分も関係しているかもしれません。そもそも受験勉強なんていう自分を律して打ち込まなきゃいけないものを人一倍頑張ったメンバーの集まりなわけで、そんなメンバーが作る組織が甘い管理体制のはずがありません。(偏見ですかね?)

 

ただ、偏差値云々を抜きにしても、学生主体のチームは「運営管理」がどうしても甘くなります。この甘さは練習以外でのチームの手間を増やします。結果的に効率の良い練習ができないのでチームはいつまでも強くなりません。

そこで登場するのがGMです。

GMという「チーム運営」に対して責任をもって取り組める役職の人を置くことで、運営面での甘さを修正することができるんです。

 

さらに、先ほどのコーチ不在チームの例でも、GMがいることでわりと簡単に問題解決ができます。なぜなら、そのGMがチームに合った良いコーチを見つけてきてくれるからです。これ意外かもしれませんが、1人のGMがコーチを見つけてくるのと、学生たちが探すのとでは、GMがコーチを探すほうがはるかに効率的です。

コーチ募集あるある

学生メンバー主体でコーチを探すときによく見られるのが、

「SNSでコーチ募集」

です。(僕はこれを「出会い系理論」と勝手に呼んでいますw)

SNSでコーチを募集するということは、

「不特定多数の中から知らない誰かを選ぶ行為」

ですよね。

これによって起こるのは、以下のようなケースです。

SNSの募集を見たコーチが連絡してくる。実際にチームのメンバーと会う。その時に「なんかこのコーチ合わないな」と感じてしまう。でも、せっかく連絡くれたのだから…と思い、むげにはできなくてコーチをお願いしてしまう。そして結局1年くらいコーチをやってもらったものの「やっぱり合わない」でコーチ契約を切る。

どうでしょうか?

僕はこういうケースをたくさん見聞きしてきました。

ただ、中には「チームに合わないと感じたのでその場でお断りしました」なんて強気な発言をする学生もいましたが、シンプルに失礼ですよね?笑

自分達で募集しておいて、わざわざ連絡してきてくれた人の時間を使わせたあげく傷つけて帰らせる。誰も得しないし、むしろ恨みを買っただけです。

GMがコーチを探した方がいい理由

GMがコーチを探した方がいい理由は2つです。

①ミスマッチが少ない(チームに合った人材を見つけられる)

②ヘッドハンティングできる

①ミスマッチが少ない

GMはチームの中で一番客観的にチームを見れて、チーム状況をよく知ることができます。そのため、「このチームに合うのはこんなコーチだ」というのがわかるので、最初からチームに合うコーチを探すという頭で活動を行うことができます。まずは一度GMというフィルターを介すので、先ほどのような不特定多数の中からランダムで選ばなきゃいけないということがありません。GMという縁結びの仲介さんがいることで長続きするパートナーが見つけやすいんです。

②ヘッドハンティングできる

GMは人脈を使ってコーチをしてほしい人に1対1で交渉します。大事なのは学生にはない人脈があるということです。ある程度ラクロスを経験してきた人、もしくは社会人経験のある人なら、人脈を駆使すればダイレクトに目的の人と交渉できます。少なくとも不特定多数にコーチ募集を呼びかける行為はしないはずです。ちょっと泥臭いですが、実は人脈をつたっての1ON1交渉が一番コスパが良い方法です。

GMをチームにつけよう

まとめると、そもそもコーチというのは現場の責任者なのでより部員に近い関係性をもつことになります。そのため、部員とのマッチングが上手くいかないとコーチは足枷にしかなりません。それを防ぐために、コーチとは別次元に位置するGMを入れてバランスの良い関係性を構築しようということです。

そうなると、じゃあGMはどうやって見つけたらいいんだとなりますが、それはラクロス協会の関係者などに直接聞いてみるのがいいと思います。もしくは、僕みたいな現役の指導者に連絡してもいいと思います。少なくとも、いきなりSNS募集はお勧めしません。何度も言いますが、募集告知を打つより、地道に探し当てた方が絶対にコスパがいいので。

ラクロス経験者じゃなくてもいい

このように、今回はコーチ募集を例に挙げましたが、GMというのは他にもチーム内の運営管理だったり、チーム外との交渉だったり、OBと現役をつなぐパイプだったりと、部員達だけでやるのは大変なことをやってくれます。なので、別にラクロス経験者じゃなくてもいいかもしれません。むしろラクロス経験者じゃないほうが面白い視点でチームの運営をしてくれそうです。

指導者と言えば「コーチ」となりがちです。が、チームの運営という意味ではGMという指導者こそがこれからのラクロスチームで重要になってくると僕は思っています。

 

今回は以上です。

佐保田さんと盛り上がった話の内容については、オンラインサロンのほうでお話ししています。全国のチーム代表者、指導者の方、ご興味あればぜひ入会いただければと思います。


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