【鈴木優也(東北学院大HC)】モチベーションUP大作戦
コーチングブログNEXT②
こんばんは。
東北学院大学HCの鈴木です。
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今回はラクロス界暗黒の時期である「冬期間」に、モチベーションを上げる(維持する)為に行った事について話してみようと思います。
テーマは「ニンジン大作戦!」
では、いきます!
◉東北の冬
皆様ご存知の通り、東北の冬はめちゃくちゃ寒いです。関東から来て感じたのは風がとにかく冷たい!寒いというより冷たいです。
(しばらく普通の事を書くので、早く中身が知りたい人は飛ばしてください)
寒いと言っても仙台の冬(12〜3月)の平均気温は6度ぐらいなので、岩手に比べればだいぶマシですね。
そして何より岩手よりも雪が少ない!今年は特に少なく仙台は未だに2回ぐらいしか降っておらず、いづれもべた雪だったので積もらず次の日には溶けてしまいました。
しかしそれでも雪が降ると困るのがグラウンド問題です。
東北学院は土グラウンドなので、
雪・雨が降る
↓
溶ける
↓
練習する
↓
グラウンドがぐちゃぐちゃ
↓
夜にまた凍る
↓
朝方に溶けてまたぐちゃぐぢゃ
のループで数日はグラウンドコンディション最悪です。
◉グラウンドが使えない
この問題は東北に限らず各地の土グラウンドで冬期間に起こる事かと思います。
そうなると必然的に練習が中止になったり、やれても室内でのフィジカルトレーニングがメインになります。
またクロスを使った練習は各自の自主練メインの壁当てに頼らざるを得ないです。
しかし、これをコントロールするのってすごい難しいですよね。誰も見てないし、サボろうと思えばいくらでもサボれる。寒くて家から出たくないし。
更に練習出来ても寒いし、基礎練ばっかだし、練習が地味でつまらない。モチベーションただ下がりで、退部者が増えるのもこの時期だと思います。
この時期にどれだけ真摯にサボらずラクロスと向き合えるかが、新シーズンのパフォーマンスに影響を与えるというのは経験者ならわかると思います。
◉目標を宣言させる
さて、ここからが本題です。
みなさんのチームではこの問題にどうやって取り組んでいますでしょうか?
岩手大学の取り組みはこちらの記事を参考にどうぞ。
導入部分で冬の紹介もしてます。
東北学院ではこの問題を克服する為に、2年前から「冬期間レポート」の提出を義務付けました。
これはその年のシーズンの振り返りと来シーズンに向けて自分が伸ばすべき・改善するべき要素について、自分の頭で考え、自分で目標を宣言する為のものです。
この時に気をつけたいのは「具体的にする事」です。
例えば
「決定率が悪かったのでショット練を頑張る」
という目標は絶対NGです。0点です。突き返します。
・どの位置からの、どんなシチュエーションでの決定率が悪かったのか。
・右手なのか左手なのか。
・どんなショット練をするのか。
・1日何本/週何本/月何本打つのか。
最低これくらいは書いてもらいます。
数値は強制ではありません。
1日10本でも50本でもそれ以上でも、数に関して口出しはしません。
大事なのは「自分で決める事」です。
自分で決めた事ならやるでしょ?
自分で決めた事も出来ないなんて恥ずかしくない?
という具合に煽る為に自分で決めさせます。
◉報酬を与えてみる
ただ、このままだと数をこなす事だけに注力してしまう危険性があったので、1〜3月の冬期間MVPと称して1番成長を感じた選手に報酬を与える事にしました。
飴と鞭でニンジンをぶら下げてみました。
1年目はレポートで3月の地区内の大会で得点王になると宣言し、見事に目標を達成した選手に、2年目は新しく作った下級生幹部制度の中で、チームをまとめあげてくれた選手にそれぞれご褒美をあげました。
(ちなみにこのご褒美はラクロスグッズですが、自腹で払ってます。笑)
◉2年やってみたけど・・・
ここまで2年連続で冬期間MVPを決めてきましたが、その効果について簡単に結論を言うと
効果はイマイチ!
まさかの結果です。
身銭を切ったのに効果がイマイチです。泣きたいです。
確かに何人かはモチベーション高く取り組んでくれていました。それは確かです。
しかし4月に冬期間の振り返りレポートを書いてもらうと、自分で決めた目標のはずなのに6割ぐらいの選手が目標未達成でした。(正直に書いてくれる事だけは評価出来ます。)
なのでやってみてわかった事は、
特定の個人に対しては効果があっても、
・組織としては効果が薄い
・やってる選手とやってない選手で顕著に差が開いてしまった
といったところです。
ニンジン作戦まさかの大失敗でした・・・
◉外的報酬と内的報酬
ではなぜ失敗したのでしょうか?
それはやはりご褒美という外的要因に頼ってしまい、本心から努力をする事の大切さや、内側から来る成長意欲を掻き立てられなかった為でしょう。
外的報酬では人は本質的には満足しないという事です。
そしてこのやり方では目の前の目標に対する短期的なモチベーションになっても、大前提のチーム目標を達成する為の長期的なモチベーションにはならないという事にも気付かされました。
大切なのは
自らが課題解決に向けて行動する事自体が報酬(内的報酬)と感じられる事
です。
人には新しいことにやりがいを求めたり、自分の能力を広げ、発揮し、探求し、学んでいく事が喜びとなる傾向が本来備わっているはずです。
大学からラクロスという新しい事に挑戦しているラクロス部の選手なら尚更そうだと思います。
そこをしっかりと吸い上げ、外的なインセンティブに訴えなくても自発的に行動し、効率的な成果を継続させる方法が必要でした。
◉ニンジン作戦は失敗なのか?
ニンジン作戦失敗を受けた今年、どんな作戦に出ようか考えましたが、具体的な方法が思いつかなかったのでとりあえずニンジン作戦をやめることにしました。レポートも求めていません。
やらない事で例年と変わらない結果となるのか、例年よりも衰退するのか、逆に向上するのか4月が楽しみです。
さて、ここまでニンジン作戦を「失敗」と書いて来ましたが、
実の事を言うと、
失敗だと思ってません。
え?って感じですよね。笑
どういう意味かと言うと、「効果がなかった事がわかった」という点では「成功」だと思ってます。無数にあるであろうモチベーションUP大作戦のうちから1つの選択肢を削れて良かった、といった感じです。
何か新しい事を始める(従前のやり方を変える)時に、最初からうまく行く方法が空から降ってくるなんてミラクルはないと思ってます。2年もかけて無駄な時間(出費)だったと思われるかもしれませんが、うまく行く方法が見つかる確率があがっただけと捉えてます。そうすれば精神衛生上少しは楽に、強くいれるのではないでしょうか。
よく「チーム作りで何をすれば良いかわからない」「何が正解かわかない」といった声を聞きますが、思いついたもの全部やればいいと思います。そこから次の発見があるはずです。
実は今回伝えたかったのはモチベーションUPの方法ではなく、失敗をどう捉えるかという話でした。
と言いつつも何かチームでモチベーションUPの為に何かやってる事、うまくいった事、失敗した事があれば是非教えて下さい!笑
今回はここまです!