リーダーシップがない
ヘッドコーチとアシスタントコーチ
コーチングスタイル
今回はヘッドコーチ(HC)とアシスタントコーチ(AC)の役割についてお話ししたいと思います。
岩手大学ラクロス部にはACが複数名います。彼らはみな「動ける」ので、コーチ業に徹するというよりは、練習に入って、一緒にプレーしながら技術指導をしています。
HCである僕もまだ少しは動けるので時々一緒にプレーすることもありますが、どちらかというと僕は「戦術や運営、思考力のコーチング」がメインです。
コーチングのアプローチ
先ほど「戦術や運営、思考力のコーチング」がメインというお話をしましたが、これについて少し説明したいと思います。
これは僕の考えですが、コーチングする上では以下の4つのアプローチがあると思っています。
①技術
②戦術
③運営
④思考力
漢字ばっかりでおカタイ内容ですが、嫌がらず見てもらえると嬉しいですw
それぞれ説明すると、
①の技術は「ラクロスの技術指導」です。シュートの打ち方、パスの出し方、動き方…などなど、たくさんのテクニックを選手たちに教えるものです。これはどのチームでも当然やりますが、コーチの技量に依存するのがネックです。そして何より、これは「Teaching(ティーチング)」になるので、一方通行の指導になりがちです。
②の戦術は「試合での戦い方」を選手たちに教えます。①同様、どのチームでもやるものですが、以前の記事で書いたように、戦術には「個人」と「チーム」があるので両者をしっかり教えてあげることが大切です。
ぜひ見てみてください。そしてまたこの記事に戻って来ていただければと思います。
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一度過去記事に飛んでいただいた皆様、お帰りなさいませ。
続きです。
③の運営は、チームの運営すなわち「マネジメント」です。これについてはほとんどのチームが学生主体です。が、僕はこの部分にかなり口出しをします。組織力を高めることがチームを強くすることだと信じているので、必要であれば運営のためのミーティングを開いて様々なアイディアを提供しています。
④の思考力は、「考え方」を教えるアプローチです。強くなるための考え方、ラクロスに対する向き合い方、ラクロス以外の物事に対する考え方…など、「考える力」を伝えます。ちなみにメンタルとは別物で、メンタルは心、思考力は頭ですね。ただただ考えろ、という導き方はナンセンスで、繰り返しでもいいので論理立てて考えさせられるといいのかなと思っています。
※少し話がそれますが、メンタルが弱いチームは同時に思考力が弱い傾向があると思っています。というよりも、思考力がないからメンタルが弱い。考えて考えて準備して準備して実行してまた考える…この繰り返しをしていけばおのずとメンタルは強くなります。考えることを放棄するから刻一刻と変わる状況に対応できないのです。たくさん考えてたくさん準備して臨めば不安も少ないし、「それがだめならこれ!」と切り替えられる余裕もできます。よく、負けた原因に「集中力が続かず踏ん張りきれなかった」みたいな表現がありますが、それは別にメンタルが弱いからうまくいかなかったのではなく、変化する状況にちゃんと対応できるほど考えていないからです。同じことをずっと続けて勝てるほどスポーツは甘くありません。
問題はそれらのアプローチでどう伝えるか
これら4つのアプローチでいろんなことを部員たちに伝えるわけですが、これがとても難しいです。何より、僕は
カリスマ性がないw
そして
説明が下手( ;∀;) …
しかも、時々突拍子もないことを言い出すので多分部員たちからしたら僕の言動はおかしいと思われているかもしれません。
でも、自分の頭の中では考えに考えて「これはイケる!」と思うことを伝えているつもりです。が、なかなか賛同が得られないことが多い。
部員たちは一応僕に気を遣ってくれて、疑いながらもやってくれるのですが(やさしいやつらが多いのです。。)、圧倒的なムーブメントが起きるほどではない。
総じて言えるのは、僕は優れたリーダーシップを持つコーチではないということです。
新コーチを依頼
上記のようなことに悩んでいたのが今年の1月くらい。そして、そのときには今年の岩手大学ラクロス部を面白くするアイディアが閃いていました。今までにない閃きだったので、これは何としてもうまく部員たちに伝えて一大ムーブメントを起こしたいと思っていました。
そこで思い立ったのが、上記の①〜④のアプローチができる新しいACをつけることでした。①ができるコーチは大勢いますが、②〜④を僕1人でやっていたので、その部分をサポート(というよりは後押し)してくれるコーチが欲しかったのです。
その結果、今年からACを引き受けてくれたのが野本敬雅(ノモト タカマサ)です。東京出張ついでに時間を作って口説きました。
タカマサは岩手大のOBであり、僕の最初の教え子です。岩手大が東北で優勝したときの世代でもあります。
なぜ僕がタカマサを誘ったかというと、タカマサはとにかくぶっ飛んでいる男(いや、漢)で、よく喋るし強烈な個性を持っていたからです。そして何よりすごいのは「人間関係の築き方」です。人は多少なりともバリアを張って他の人と一定の距離感をもって接するものですが、タカマサはそれを躊躇なく壊して侵入してきます。だから人の心に入るスピードが早い。そして伝える力が強い。
その個性で部員たちはみなタカマサに惹きこまれました。
信者になった部員もいるほどです。笑
最強のフォロワー
タカマサがACをしてくれたおかげで、僕の弱い部分をタカマサが補てんしてくれるようになりました。そして、一番の成果は、僕が考えたアイディアをタカマサがよく理解し、その上でそれを部員たちに広く浸透させてくれたことです。
もちろん僕からも部員たちに伝えるのですが、タカマサからも伝えることでその浸透力はさらに強くなりました。
彼は僕の「最強のフォロワー」となりました。
最強のフォロワーがいるとムーブメントが起きる
企業の研修等で見ることが多い動画があります。この動画を見れば僕とタカマサの関係性がわかりやすいかと思います。
この裸の男が僕ですね。そして最初のフォロワーがタカマサです。
この動画にもあるように世の中的に「リーダーシップは称えられすぎ」ています。
でも実際には相当なカリスマ性を持っていないとリーダーシップは発揮できない。
だからこそ、「フォロワーシップ」と呼ばれる考え方が生まれました。
「フォロワーシップ」とは
リーダーに求められる資質であり(でもリーダーシップとは違う)、ざっくり言うと
組織のメンバーが自ら考え、行動し、成長できるように環境を整えてあげること
です。
これまではトップダウンで「やれー!」「おれについて来いー!」という、ザ・リーダーシップのスタイルが称えられてきましたが、いやいや、組織の人間が自ら考えて行動できるように働きかけ、その環境を作ることも重要だよ、という考え方ですね。
これについては、以下の本がオススメです。
ぜひこの本を読んでみてほしいです!非常に参考になります!
ヘッドコーチ(HC)とアシスタントコーチ(AC)
今は多くのチームがHCとACの複数コーチ体制で運営しています。が、その役割はどうなっているでしょうか?
HCもACも技術しか教えてくれない、みたいなチームは意外と多いと思います。
もちろん、学生主体のラクロスにおいてはそれもいいでしょう。でも、「強くなりたい」というチームの思いを叶えるのであれば、ラクロスの技術や戦術ばかり教えてもダメだと思います。
これは僕の持論ですが、
「運営」
「思考力」
の部分にこそコーチングは必要です。
技術や戦術を教えるのはもちろん大事です。
が、上記のポイントでもコーチングの幅を広げ、その役割を複数のコーチで担うことができれば「強いチーム環境」ができるはずです。
ちなみに、カリスマがいるならその人に丸投げでOKです笑
カリスマはもって生まれたセンスと運が桁違いです。
世の中にはいるんですよね、そんなコーチが。
就任後すぐにチームが強くなってあっさり結果も出す…みたいな。
めっちゃカッコイイですよ。漫画ですよ。
僕もなりたい!笑