岩手大のユニフォームは「高い・黒い?・軽い」
日本一お金のかからないラクロスチーム②
こんばんは、岩手大学HCの佐藤陽一です。
今回は前回の続きです。
前回はお金がかかっているものを洗い出してその対策を考えてみました。
今回はその続きで、岩手大学ラクロス部の1年生が最も負担に感じている「ユニフォーム」についてお話ししたいと思います。
まずタイトルにあるように、岩手大のユニフォームは
「高い・黒い?・軽い」
の3拍子です。
その3拍子についてお話ししたいと思います。
高い
ラクロスのユニフォームはホーム&アウェイで2色持たないといけません。つまり2着購入しないといけないということです。
ちなみに現在の岩手大のユニフォームは
2着で約35,000円
となっています。(なかなかいいお値段!)
これは個人負担の中でも最も大きい金額です。
ヘルメット、防具、クロスに加えてこのユニフォームが最後の最後で1年生に大ダメージを与えるんです。
これについては毎年上級生も同情していて、
「卒業した先輩のユニフォームを受け継ぐ」
という方法で負担を減らしてあげています。
これにより金銭負担を減らしたい1年生は実質タダでユニフォームを得ることができるのですが、実際のところはよっぽど金銭面で苦労している1年生しかやりません。
でも、ホントにこんなユニフォームで戦いたいでしょうか?
できることなら自分の決めた背番号、自分の体型にあったユニフォームで戦いたいと思うはずです。
まったく知らない先輩のユニフォームをもらっても気持ち悪いだけです。
というわけで、
なんとかして安くユニフォームを作ることはできないか?(でも安かろう悪かろうは嫌)
が課題となりました。
黒い?
岩手大のユニフォームはデザインが「黒い」です。黒になったのはチーム名を「RAVENS(レイブンズ)」と定めてからです。レイブンというのはカラスのことですが、盛岡市街地近くの山にカラスのでっかいねぐらがあり、岩手大学周辺にも大量のカラスがいたことからこの名前になりました笑
今では環境が変わりましたが、昔は本当に気持ち悪いくらいカラスがいたのを覚えています。夕方になると空が真っ暗になるくらい大量のカラスがいたので恐怖でした。
実はこのチーム名とチームカラーは僕がコーチ就任当初に半ばムリヤリ作らせたものなんです(チーム名自体は部員達が決めました)。というのも、僕がコーチに就いた時の岩手大学のユニフォームのメインカラーは「青」でした。
そして、当時の東北地区のほかのチームのユニフォームは、
・新潟大 「エンジ(でもスクールカラーは緑?)」
・東北大 「紫(紺に近い?)」
・東北学院大 「青」
・東北福祉大 「青」
・日大工学部 「オレンジ」
だったので、まずはシンプルに「青」という色を変えさせたかったんですよね。
地区に青系が多いというのもありましたが、何より
青という色が嫌いだった 笑
だって弱そうなので。。
この青嫌いは、大学のときのスポーツ心理学の授業で、
「レスリング競技において赤のユニフォームを着ていたほうが勝率が著しく高い」
という研究結果を聞いて「青ダメじゃん」という思考になっていたからかもしれません。(この研究結果には正直ビビりました。スポーツにおいてはマジでチームカラーは関係あると思います)
というわけで、岩手大学ラクロス部は
チーム名:RAVENS(レイブンズ)
チームカラー:黒
になったわけです。
が、これによって予想外の面白いことが起こりました。
チームの一体感が明らかに増したんです。
理由ははっきりしませんが、やっぱり「自我」ができたからですかね?
「自分達はこのカラーなんだ!自分達はレイブンズだ!」
という表明が自我を作ったような・・・感覚的にはそんな感じでした。
ちなみにその当時に作られたユニフォーム↓↓
そして、現在のユニフォーム↓↓
価格はだいぶ上がりましたが、ユニフォームの機能面では以前のユニフォームよりも上がりました。
でもここでちょっと感じたのが、
白のほうが映えるw
ということです。
こう思ってしまったのは僕だけでなく、おそらく部員達もだったはずです。
せっかくチームカラーの黒が定まってチームとしての一体感が生まれたのに、ファッション性が高まった結果「かっこいい白ユニで戦いたい」という声まで出てきてしまったのです。
チームの象徴である「黒」が弱まっていくのを感じました。
これがタイトルに「?」をつけている理由です。
軽い
岩手大のユニフォームは「軽い」です。
これはもちろん機能としての軽さではありません。
"想い"や"気持ち"としての「重みがない」
という意味の「軽い」です。
僕はこれが岩手大の潜在的な課題だと感じました。
伝統と重み
岩手大のユニフォームの重みの話は一旦置いておいて、「"想い"や"気持ち"としての重み」について少しお話ししたいと思います。
「"想い"や"気持ち"としての重み」で連想されるものとして「伝統」があります。
岩手大は部としてそこまで長い歴史があるわけでもなく、何より勝っていないから伝統というものができあがっていません。
※「伝統」は勝つことで創られます。早稲田が強いのは勝ちの伝統をしっかり引き継ぎ、後輩達がその伝統の重みを背負って戦っているからです。このあたりの話もしたいですがそれはまた今度に。
この伝統があるチームとないチームとでは環境が全く違います。そして間違いなく言えるのは、伝統のあるチームの方が安定的に強いです。
この理由を考察するに、伝統の重みが「危機感」を生んでいるからだと思います。
この危機感はチームが強くなる上ではある程度必要なものです。危機感は努力を生みます。そしてその努力がベースとなり結果を作るのです。(さらっと書いていますが、この危機感と努力は決して生易しいものではありません。本当に死ぬ思いでやっているチームもあります。多分早稲田はその代表格です。)
つまり、伝統校の選手達は、
「伝統を感じる⇒危機感をもつ⇒必死にやる」
という流れで日々の練習に取り組んでいます。
伝統を持っているチームが強い理由はここだと僕は思っています。
強いチームは「伝統の重み」という名の「危機感」を背負って戦っているのです。
じゃあ伝統を持たないチームが強くなるためにはどうすればいいか?
ここで先ほどの「ユニフォームの重み」に話を戻します。
伝統とユニフォーム
僕は
この伝統の重みを背負って戦うということを「ユニフォーム」でできないか?
と考えてみました。
というのも、以前早稲田ラグビー部の親友から「赤黒」のジャージーを着ることの特別感と重みの話を聞いたことがあったので、ユニフォームで伝統の重みを作ることはできると思っていたのです。
ただよく考えれば、そもそも「赤黒」自体が早稲田の伝統の象徴なので、早稲田ラグビーの親友の思考は
「早稲田伝統の赤黒ジャージー⇒伝統を感じる⇒危機感をもつ⇒必死にやる」
ということで、"伝統ありきの"赤黒ジャージーで、それにより結局また伝統を感じて危機感につながる流れなのだと思います。
と、ここまで考えたときに、
もしかしたら「伝統を感じる」というのはすっ飛ばすことができるのでは?
と思いました。
つまり、上記で言うところの
「早稲田伝統の赤黒ジャージー⇒伝統を感じる」
の部分を
「特別なユニフォーム」
に変えるということです。
結局僕は「岩手大に危機感を与えたい」んです。
であれば、危機感を与えるのは伝統である必要はないんです。
というわけで、僕の考えは
「特別なユニフォーム⇒危機感をもつ⇒必死にやる」という流れを作れないか?
に変わっていきました。
ユニフォームに重みを
「高い・黒い?・軽い」
この3拍子が現在の岩手大のユニフォームの特徴です。
僕はこれを
「安い・黒い・重い」
に変えたいと思っています。
では、
そのための特別なユニフォームとはどんなユニフォームか?
これが次の課題となりました。
そこで、部員達にはまず「高い」を「安い」に変えられないかということを話し合ってもらいました。
(というか、「黒い?・軽い」については部員達には話していません。この部分は安いが実現したら付加価値として付け加えたいと僕が勝手に思っていたことなので)
そこで部員達から出てきたアイディアが
①ユニフォームのシャツは2種類(ホーム&アウェイ)、パンツは1種類にする
②企業スポンサーをつける
ということでした。
①はユニフォームの規定上、シャツがホーム&アウェイで分かれていれば問題ないのでパンツは1種類でも大丈夫なようです。これにより、パンツ1種類分のコストが削減できます。(約8,000円の削減)
続いて②の「企業スポンサー」についてですが、これはとても難しい問題です。スポンサーをつけること自体は確認をとったので問題なさそうですが、
そもそも、そんな企業がいるか?企業側にメリットがあるか?
というのが問題です。
今の岩手大の広告効果はゼロです。お付き合いでの協賛にしかなりません。(もちろんそれで得られるのであれば最高にありがたいのですが、WINWINにならない上に選手達がその企業を背負う気持ちになれないので意味がありません)
結果としては、①は良さそうですが②はイマイチです。
これが限界かなと思いましたが、この企業スポンサーというアイディアを聞いていて、ふと思いました。
企業じゃなくて個人ではどうか?
例えば、
個人の名前をユニフォームに刻む
とか。
よく、ユニフォームに寄せ書きをして願掛けをするチームがありますが、まさにあんなイメージです。
それにより「一緒に戦う」という気持ちを奮い立たせるアイテムになるはずです。
ただあまりにわかりやすく名前を刻んでしまうと、デザイン性が損なわれます。笑
なので、そこはうまいことデザインの一部になるように考えたいとは思いますが…。
というわけで、この
「個人スポンサー×ユニフォーム」
という考え方は面白いなと思いました。
ユニフォームに支援者の名前が刻印されていれば、選手達がその人たちの思いも背負って戦うんだという気持ちになります。
そういう「危機感」があれば今までの岩手大にはない新しい強さを生むはずです。
これが実現できれば3拍子の
「高い・軽い」
は解消されるかもしれません。
あとはこの考えをどう形にしていくか?
クラウドファンディング?寄付?OBからの支援?
これが次の課題です。
正直このあたりはわからな過ぎて完全に思考がストップしてしまっています。。
このブログを読んでいただいている方、是非ともアドバイスください(切実)!
最後はお願いになってしまいましたが、実際かなり悩んでいます。
進展あればまたこの場で報告させていただきます。
というわけで今回は以上でーす。